ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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公立学校への期待が大きな地域特性
 墨田区が行った学習状況調査の結果からは、児童生徒の学習行動の課題も見えてきた。例えば、勉強をする子としない子の二極化が進んでいること、学年が上がるにつれて子どもの学習意欲が低下する傾向にあることなどだ。
  「墨田区は、中小企業や伝統工芸産業、江戸時代から続く老舗の商店などが多い地域です。そのため、保護者のなかには土曜・日曜に仕事がある方も多いのです。学校週五日制になって、本来であれば、週2日の休みを利用して、学校で身につけた力を家庭や地域でさらに伸ばすことが期待されます。しかし、墨田区ばかりではありませんが、保護者が土日に子どもたちのために時間を確保するのが難しい家庭もあります。
  さらに最近は、振り替え休日などで月曜日が休みになることが多くなりました。そのため、5日間かけて勉強したことを3日の休みで忘れてしまう。週明けの学習がスムーズに始められず、またすぐに休みを迎えるという悪循環になりかねません」(「すみだ教育研究所」統括指導主事・茅原直樹氏)
  基礎・基本の定着の中心は学校での学習だが、学校外での学習習慣を定着させないと、子どもの学力向上には結びつかないことが調査では明らかになった。子どもたちの自主的学習と保護者の家庭教育双方への行政支援が待ったなしの状況であった。
  「墨田区の地域の人々は、区立の小・中学校を地域の学校としてとても大切に思ってくれています。都内には私立中学への進学率が4割にものぼる区がありますが、墨田区は2割程度です。区としても、公立の小・中学校で質の高い教育を実施して、『区立の学校に通ってよかった』と子どもや保護者に喜んでもらいたいという強い思いがありました」(茅原氏)


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