ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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(4) 長期休業前に全教科の学習のポイントを提示
 現在、墨田区では二学期制を導入している。二学期制は三学期制に比べると、通知表を生徒に渡す回数が1回少なくなる。そのため、二学期制になると、生徒が自身の学習状況を振り返る機会が乏しくなるおそれもある。
  そこで寺島中学校では、夏休み前の三者面談を利用して、生徒に教科別の学習のポイントをまとめ、渡している(図2)。
▼図2
図2
▲クリックすると拡大します。
  「夏休みまでの生徒の学習の状況と、夏休み中の勉強の指針を教科別に詳細に記述したものですが、内容的には通知表よりも詳しいものです。生徒や保護者にとっては、長期休業をどのように過ごすかを考える際の材料になります」(小川校長)
  寺島中学校では、この教科別の学習のポイントを、冬休み前にも作成して生徒に渡している。そのため、生徒は学期末の通知表と合わせて年に4回、自分の成績を把握することができる。また、教師の側にとっても、この学習のポイントをまとめることを通して、生徒個々の現状と課題を整理することができ、結果として、授業力の向上に結びついている。
  「ただし、私たち教師が気をつけなければならないのは、勉強に苦しんでいる生徒にとっては、ややもすると課題ばかりを突きつけてしまうことになりかねないということです。そうした生徒の場合は、学習のポイントを渡すことでかえってモチベーションが低下してしまうことも考えられます。そのため、学習のポイントを作成する際には、教師が常にコミュニケーションをとりながら教科間のバランスを図り、一人の生徒の負荷が大きくなりすぎないように注意しなければなりません」(小島主幹)
  また、寺島中学校では、生徒が長期的に自学自習の習慣を身につけられるように「学習ガイダンス」も実施している。これは、「なぜ学習するのか」「今勉強していることが現在、そして将来どう役に立つのか」といった学びの意味を個別にアドバイスする取り組みである。生徒が学習に取り組む姿勢を心理的にもサポートすることを目的としている。

 


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