ベネッセ教育総合研究所
学校現場が長期休業を意義ある機会とするために 夏休みの指導のポイント
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theme1 夏休み前の面談
通知表よりも一歩踏み込んで要望を保護者に伝える
 今回の企画のためのヒアリングに協力していただいたA小学校で行っているのが、夏休み前の保護者面談だ。A小学校では2学期制を採用しているため、夏休み前に通知表を渡すということがなくなった。そのため、長期休業の前に、子どものようすを保護者に伝えるための通知表に代わる手段として、保護者面談を実施しているという。
  「子どものようすを正確に保護者に知っていただくためには、実際には通知表よりも面談のほうが効果的かもしれません。最近の通知表は、子どもの良い点、評価できるところしか書かなくなっています。でも面談なら、『a君は算数が苦手で、ちょっと授業についていくのが大変になっています』というふうに、わりと率直に、そして具体的に話すことができますからね」
  基礎学力に不安がある子どもにはその状態を、夏休み中に社会体験をしっかりと積ませてほしい子どもにはその希望を、教師が面談を通じて保護者に話していく。つまり面談は、「子どもが普段学校でどう過ごしているか」という実態を保護者に伝えるだけでなく、「これから始まる夏休みをどう過ごさせてほしいか」という具体的な要望を保護者に発信する場でもあるわけだ。
  ちなみにA小学校のある教諭が面談で「算数が少し苦手なようなので、こういった学習を心がけてほしい」と話をした子どもの保護者は、夏休み中にしっかりと子どもに算数の基礎を復習させたうえで、夏休み明けを迎えたという。まさに、学校と保護者が課題を共有した成果である。
  「本校の場合、夏休み明けの立ち上げにはそんなに苦労していないのですが、それは夏休み前の面談の効果が大きいのかもしれません」
  夏休み前の保護者面談は、A小学校のように2学期制を採用している学校ばかりでなく、3学期制の学校でも効果があるはずだ。通知表作成などで多忙のため、夏休み直前の面談の時間がとれない場合は、夏休みに入った直後に行うという方法もあるだろう。


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