ベネッセ教育総合研究所
学校現場が長期休業を意義ある機会とするために 夏休みの指導のポイント
深海龍夫
ベネッセ教育研究開発センター
顧問
深海龍夫
Fukami Tatsuo
第2回「もっと!チャレンジ全国コンクール」審査委員長
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夏休みの課題学習
成功のポイント
調べたい、つくりたい気持ちを高め、
じっくりと考えさせる
小学校の夏休みに多くの学校で取り組まれる自由研究。その意義や教育的な効果についてベネッセ教育研究開発センター顧問の深海龍夫に聞いた。


作品を完成させるまでの試行錯誤を経験させたい
―最近はほとんどの小学校で、夏休みの課題として自由研究を課しているようです。そもそも夏休みに、子どもたちに自由研究に取り組ませることの意義、ねらいとはどのようなものなのでしょうか。

深海
 普段の授業では時間的な問題もあって、じっくり考え、さまざまな資料などで納得いくまで調べたり、実験したりすることがなかなかできにくい状況にあります。自分の力で最後まで考えて答えを導き出すという経験は数多くはできません。
  ところが夏休みには、子どもたちに自由な時間が与えられています。自由研究を通じて、自分が興味を持っていることをテーマにして、じっくりと調べたり、ものづくりに挑戦したりする非常にいいチャンスです。
  もちろん、だれもが最後までうまく研究が進むわけではありませんし、途中で挫折をする子どももいるでしょう。でも行き詰まってしまったときにこそ、自分の力で考えて答えを導き出すという経験ができるわけです。普段の授業では教師が学習をリードしていくシーンが多くなりますが、自由研究では子どもが自分自身で学習をつくっていくのだといえるでしょう。

―子どもが自分の力で作品をつくり上げる過程が大切ということですね。

深海 そうですね。どんなに見た目がきれいで立派な作品に仕上がっていたとしても、そのことだけでは私は評価しません。私が教師として、あるいはコンクールの審査員として自由研究の採点をするときには、子どもが研究のプロセスにおいてどこでつまずいているか、そのつまずきをどんなふうに工夫して乗り越えようとしたかを見るようにしています。努力している姿を読みとりたいと思います。子どもが本当に悩んでやり遂げたレポートのほうが価値があります。


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