特集 つながる幼小の「学び」 ―幼稚園・保育園から小学校、その接続を考える―

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学びの土台として社会性を重視

 子どもの社会性に密接に関係しているのが情動制御(emotional intelligence)です。これは、社会生活を送るうえで自分の心の動きをコントロールする力といえます。感情を司る脳の前頭葉が発達し、自分の感情をコントロールできるようになるのは、概ね3歳から10歳くらいまでの間です。つまり、幼稚園から小学校入学の時期はちょうどその過程の真ん中にあたることになります。
  感情をコントロールできれば、例えば友だちに遊び道具を取られたとき、一瞬「カーッ」となっても、怒りを抑えて「返して」と交渉したり、勉強が面白くなくても「あきらめずにがんばろう」と自分を励まして勉強を続けたりできるようになります。このように、学校での集団生活や学習を成立させるうえで、実は感情の抑制が非常に重要なのです。欧米に比べて日本の小学校の指導がスムーズなのは、幼稚園などで感情の抑制を重視した教育が行われているからなのです。
  感情の抑制ができないと、勉強をすぐに放棄してしまいますから、余計にわからなくなります。実際、中学校の英語や数学などは、暗記さえすればある程度は点が取れるはずなのに、あきらめてしまい、それすらしない。これは、自分の感情をコントロールできないまま大きくなってしまったからといえます。


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