特集 つながる幼小の「学び」 ―幼稚園・保育園から小学校、その接続を考える―

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【保育園】

“家庭の補完”が重要な役割

 保育園でも、遊びから学びを引き出している点は幼稚園と同様だ。東京都品川区立二葉つぼみ保育園の保育長・塩谷香先生はこう話す。
  「保育園の活動は、厚生労働省の保育所保育指針に従っていますが、その内容は幼稚園教育要領と大きな違いはありません。幼稚園と同じように、『幼児教育施設』として、遊びを通して文字や数を獲得させたり、知らなかったことを知る喜びを教えたりしながら、子どもたちが意欲や自己実現の感覚を身につけられるようにしています」
  小学校への接続についても、幼稚園と同様、進学を間近に控えた5歳児に対し、小学校を意識した指導を行うところも多い。例えば、長時間話を聞くことに慣れさせるために「おはなし会」を定期的に開いたり、行事などの際にはいすに座って意見交換や決め事をさせ、話し合いの練習をさせる取り組みを行う保育園もある。塩谷先生は、「幼児でも興味が続けば、長時間、黙って話を聞くことができる」と話す。
  その一方で、幼稚園との最大の違いが、保育時間の長さだ。幼稚園は4時間が標準であるのに対し、保育園は原則8時間保育で、中には12〜14時間の保育を実施する園も少なくない。そのため、幼稚園に比べ、活動の研究や保育士の研修時間を確保するのが非常に難しいと、塩谷先生は話す。
  更に保育が長時間に渡るため、保育園は、“家庭の補完”という重要な役割を持つ。保育園で過ごす1日には、食事や昼寝、補食(または夕食)が含まれている。そのため、本来は家庭で行われる、食事や睡眠、排泄、着替えなどの生活のしつけの多くを保育園が担っているのだ。
  「保育士には、教育者としてのみならず母親、父親としての役割も求めらます。そのため、小さな園児の担当は、保育士を固定するなどの配慮に加え、園内ではリラックスできる家庭的な雰囲気をつくるように心掛けています」(塩谷先生)

写真2
写真2 赤組と白組に分かれ、園庭にばらまかれたパネルをひっくり返して、自分の組の色を多くする競技。勝ち負けを競って、白熱する姿が見られた

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