特集 「学校力」を生み出す学校評価
岡山県 岡山市立岡山中央小学校

2005年に岡山中央南小学校と岡山中央北小学校が統合して誕生。岡山市の中心部に位置し、近隣は行政や文化、商業の中心として栄える。教室と廊下を隔てる壁を取り払った「オープンスペース」をはじめ、新設の校舎は先端的な意匠に溢れる。

小川潔

▲校長 小川潔先生

児童数◎697人
学級数◎27学級
TEL 086-234-7750
FAX 086-234-3660
〒700-0817
岡山県岡山市弓之町9-27
URL http://www.city-
okayama.ed.jp/~chuos/

※本文中のプロフィールはすべて取材時(06年3月)のものです
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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特集 「学校力」を生み出す学校評価

学校教育の質に対する保護者や地域の関心が高まり、教育現場が責任を持って自己改善する仕組みとしての「学校評価」の必要性が認識されるようになった。学校評価の重要性と、その効果的な実施手順を考える。

【事例1】先行事例に見る学校評価の効果

4校統合後の新しい学校づくりに学校評価を生かす

岡山県 岡山市立岡山中央小学校

学校評価は学校改革にどのような効果をもたらしているのか。学校評価を効果的に取り入れて特色づくりを進めるケースを追った。

統合後の校区を一つにまとめる

 岡山中央小学校は、2005年度に開校した新設校だ。以前、この校区には明治・大正期に開校した四つの小学校があったが、児童数の減少により、01年度には2校に統合。そして05年度の再統合で、岡山中央小学校が誕生した。加えて、隣の中学校区の廃校になった小学校区からも一部の児童が通うため、実質的には5校の児童が集まっている。
  いずれも往時は大規模校で、優秀な人材を送り出してきた歴史ある小学校だっただけに、住民の愛着は強かった。学校がなくなることに抵抗や寂しさを感じる人は少なくなかったが、少子化の影響を受け、統合は避けられなかったという。
  そうした事情から、新しい小学校に対して保護者や地域住民が抱く期待感は強い。一方、PTAや教師は、かつての四つの校区をもとに形成されている。保護者、地域住民、教師…それぞれの思いを一つにまとめることが、岡山中央小学校の最初の課題だった。初代校長の小川潔先生が話す。
  「最初に一つにまとまったのは、子どもたち。校区など関係なく、すぐに一緒に遊んでいましたね。子どもたちと同じように、教師、保護者、そして地域住民も一致団結して子どもたちを育てようと、PTA総会や地域の会合などで協力を求めました」
  小川校長は、まず教職員や保護者に、子どもと一緒に大人も成長しようと呼びかけた。
  「教師には『この学校で仕事をすることで、自分も成長できた』と思えるような学校にしようと話しました。更に、教育には保護者の協力が不可欠です。保護者にも一緒に成長しようと促したところ、多くの方が共感し、真剣に耳を傾けてくれました」
  こうした呼びかけに加え、小川校長が教職員や保護者、地域住民に繰り返したのは、学校づくりの核となる「学校経営方針」の発信だ。これは「子どもたちが喜んで通える学校――ともに学び合い、学ぶことに喜びを感じる授業の創造」を理念とする。子どもが楽しい学校生活を送るためには、何よりも授業の充実が不可欠というのが小川校長の考えだ。
  「近年、学校によっては、授業よりも生徒指導などに重点を置かざるを得ない傾向が見られます。しかし、学校運営の核は、やはり授業です。友だちが一緒に学び合い、学ぶことに喜びを感じていれば、どの子も悪いことをしようなんて思いつきません。『授業』に引っ張られて、ほかの要素もよくなっていくのだと思います」

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