特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ゲームでのかかわり合いを日常に広げる

 対人関係ゲームだけでなく、普段の授業の中でも友だちとかかわる場面を取り入れることが大切だと、滝沢先生は強調する。
  「クラス全体だとなかなか話せない子どももいますが、『隣の人と互いの意見を交換してみよう』という場面を入れると、積極的に話ができるようになります。算数でも、『自分の解法を友だちにわかりやすく説明してください』とすると、ゲームでしていたことが生きてくることがあります。道徳や学活では『頼まれごとの断わり方』など、ソーシャルスキルにも取り組んでいますが、中にはマンツーマンで教えてあげなければならない子どももいます。ゲーム以外の場面でも、繰り返しコミュニケーションの仕方を伝えています」
  治田小学校の4〜6年ではいくつかの教科で「交換授業」を行っている。これは、例えば滝沢先生が5年生の全クラスの社会科を受け持つ代わりに、他クラスの担任が別の教科の授業を全クラス持つというもの。これが、人間関係の面でも大いに役立つと滝沢先生は話す。
  「子どもと先生には相性があります。担任の先生と相性がよい子どもは問題ありませんが、よくない場合もあります。そのとき、隣のクラスの担任の先生には話しやすいというパイプをつくっておけるわけです。担任が気付かなかったその子の良いところを指摘してもらえば、その子を見直すきっかけにもなります。自分のクラスさえ良ければいいというのではなく、『学年の教師がみんなで学年の子どもたちを見る』という意識も高まります」
  校内研修会で対人関係ゲームを紹介したところ、5年生の各クラスだけでなく、他学年でも取り入れ始めた。更には、「教職員が『くまがり』をやるべきだ、との声が教師の間で上がっているんですよ」と、滝沢先生は笑う。
  「教師同士が互いに意見を言い合える職場の雰囲気づくりや学年団の連携を深めることが、これからはより一層大切になると思います。もちろん、対人関係ゲームを行えばコミュニケーションがすべてうまくいくわけではありません。でも、手法の一つとして、学級崩壊の予防策や立て直しに有効に使えるものです。今後も積極的に紹介していきたいですね」

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