特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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パイロット教員と担任によるチームティーチング

 広島県が言語技術指導を取り入れ、「ことばの教育パイロット校事業」を始めたのは、2005年度だ。指定を受けた県内31のパイロット校(小・中・高校)のうち小学校は14校。研究推進の中心となる教師が「パイロット教員」として位置づけられ、県教育委員会が行う言語技術指導の研修を受け、学校現場での取り組みに具体化する作業を繰り返している。パイロット教員は学級担任がなる場合や、加配教員を充てる場合など、各校によってさまざまだ。鈴が峰小学校では05年度から2年間、言語技術指導を進めている。加配の土井先生は、06年度のパイロット教員だ。
  この取り組みの背景の一つには、話しかけても「水」「トイレ」などと子どもが単語で返事をする現状があると三島幸枝校長は話す。
  「テレビから洪水のように言葉が流れていますが、それは一方通行でしかありません。今の子どもは、人の話を聞いた上で自分の話を返すというコミュニケーションが少ない環境にいるようです。友だちに対しても腹が立ったらつい手が出てしまうところがあります」
  そんな子どもたちの「ことばの力」を育てるのが言語技術指導の狙い。言語技術は全教科の基礎となる上に(図1)、将来にも大きな武器となる力だ(コラム参照)。
  鈴が峰小学校の言語技術の授業は、どの学年も国語の枠内で週1時間行うのが基本。パイロット教員の土井先生は、担任とのチームティーチングで全学年全クラスの言語技術の授業を担当している。国語の枠内で行うため、言語技術指導は、できるだけ国語の学習内容と関連づけて行うようにしている。また、朝の10分間読書や昼のチャレンジタイム(13時45分〜55分)といった時間も活用する。
▼図1 クリックすると拡大します図1

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