特集 量から質へ―これからの学びを考える

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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保護者の意識を変えた学習ボランティア

 まず注目したいのは、05年11月に導入した保護者による「学習ボランティア」だ(写真1)。亀田小学校は、児童に毎日、国語や算数の基礎を中心としたプリントを宿題に課しているが、その添削は、学習ボランティアが交代で学校を訪れ、教師が用意した解答をもとに行っている。学習ボランティアは、PTAを通して保護者全員に呼びかけたところ、06年度には13人が集まった。これにより、教師は授業の準備に専念できるようになった。
  保護者や児童の意識に変化が見られたのも、大きな成果だ。学習ボランティアの1人は、「学校で子どもが何を学んでいるのかがわかり、勉強について家庭で話し合うきっかけになっている」と喜ぶ。

写真1
写真1 毎日5、6人の学習ボランティアが空き教室に集まって、プリントの添削をする。将来的には、授業で指導の支援をしてもらうことも検討している
  興味深いのは、ボランティア以外の保護者にも家庭学習の重要性の意識が芽生え、子どもの家庭学習に関心をもつようになったことだ。「ちゃんと提出しなさい」「きれいな字を書きなさい」などと働きかけるようになり、宿題の提出率向上につながっている。導入時から学習ボランティアを続ける保護者は、「当初は、5割程度の提出率でしたが、今では、全員提出するクラスがほとんどです」と、その著しい変化に驚く。金谷校長もこう話す。
  「以前は宿題を出しても毎回2割ほどの児童が未提出でしたが、学習ボランティアの導入をきっかけにきちんと取り組む児童が増えました。06年度の学力調査結果で学力が向上していたことからも、大きな成果が得られたと実感しています」
  また、保護者からは「帰宅後、遊びに行く前に、まずは宿題を済ませるようになった」という声が寄せられている。それを裏付けるかのように、「学習基本調査」による亀田小学校の「平日の家庭学習時間」は、01年の50.4分から27分増加し、06年は77.4分だった。家庭学習は着実に根付いているようだ。
  学習ボランティアが採点中に気づいたことが、貴重な助言になることもある。「解答に帯分数と仮分数が混在しているので統一してほしい」「同じ問題を何度も間違える子どもがいる」「易しい問題しか解かない子どもがいる」といったことが、学習ボランティアから指摘された。これらは、教師にフィードバックされ、指導に生かされている。

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