特集 量から質へ―これからの学びを考える
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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少人数・習熟度別授業で手厚い指導を徹底

 学力向上への取り組みは、ほかにもある。その一つは、4年生以上が対象の「学習の時間」だ。通常は授業のない月曜日の6時間目に、国語と算数の基礎学習を中心として、年30回ほど行う。クラス担任と低学年の担任、そして専科の教師も参加し、チーム・ティーチングで個別に指導する。また、毎日の宿題プリントで特に間違いの多かった箇所についての補習も、この時間に行う。
  「特に、成績下位層の学力の底上げに役立っています。しかし、簡単な問題ばかりだと、成績上位層からは『早く遊びたい』『図書室で読書したい』といった声が上がってしまうため、習熟度別の指導にし、難易度の高い問題を解かせるなどしています」(金谷校長)
  また、もう一つの取り組みとして、3年生以上を対象に年15回実施している「ステップ学習」がある。これは、基礎力向上を目的としながらも、児童の自主性を伸ばす取り組みだ。算数の足し算や引き算、かけ算、割り算などのスキルにそれぞれ級を設け、各自のペースでステップアップしていく(写真2)。児童はチャレンジする級の問題用紙を自分で取りに行き、解き終えたら自分で採点。担任にハンコを押してもらい、次の級に挑戦するという流れになっている。「学習の時間」と同様にチーム・ティーチングで行い、途中でつまずいた児童には、解けるようになるまで個別に指導する。
  「『次の級に早く進みたい』という気持ちが、やる気につながっています。ただ、スピードを競わせるのではなく、着実に基礎を積み上げる指導を心がけています」(金谷校長)
写真2
写真2 ステップ学習のカード。徐々にステップアップする達成感が児童の自主性を促していく
  また、従来の少人数加配に加えて、05年度には「ステップアップ講師」として2人のベテラン教師が加配され、2年生以上の国語・算数では、少人数・習熟度別授業を更に充実させている。その結果、例えば2クラスの学年であれば最大で5分割できるなど、これまで以上にきめ細かい指導が可能になった。
  今回の取材では、2クラスを4分割した5年生算数の「四角形の内角の和」の授業を見学した(写真3)。
  習熟度の高いグループでは、教師が児童の発言をスムーズにつなげて思考を深める授業を展開していた。一方、習熟度の低いグループでは、児童に画用紙で三角形や四角形を作らせて、視覚や体験を通して理解を促していく。だれかが正解を発言したあとも、ほかの児童に意見を求めて、「みんなで考える」という雰囲気をつくり上げていた。
  それぞれのレベルに合わせた指導で、いずれのグループの児童も、最終的には「四角形の内角の和は360度になる」ことを、その求め方も含めて理解していた。
写真3
写真3 習熟度別授業の様子

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