特集 量から質へ―これからの学びを考える

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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校内に息づく「自制心」と「笑顔」

  しつけは、学習面から生活面に至るまで細部に渡る。
  授業中の教室に入ってまず目についたのが、一人ひとりの児童の机上に鉛筆やペン、定規、ノートなどが整然と並べられていたことだ(写真1)。挙手時には、「はい」というはっきりした声と共に、腕がまっすぐ挙がる(写真2)。友だちの発言を聞くときには皆がその方向を向き、発言後には「そうですね」「わかりました」「ほかにもあります」「質問があります」といった声が飛び交った。
  更に、ロッカーや下駄箱をはじめ、校内の整理整頓が行き届いている。「校内がきれいだと、気持ちも整い、豊かな発想が生まれやすい」(福田教頭)という考えに基づくものだ。
  しつけの成果はさまざまな面で表れている。
  「人の話をしっかり聞けるため、新任教師は『授業がしやすい』と口をそろえます。また、卒業後は主に二つの公立中学校に進みますが、どちらからも『授業を受ける姿勢が身についている』と評価されています」(中村校長)
写真1
写真1 鉛筆、赤ペン、青ペン、定規、消しゴムが机上に整然と並ぶ。ノートの上部には、その日の学習問題(めあて)を書くために赤線が引かれている
21ページ図2参照
写真2
写真2 6年生の社会の授業風景。背筋を伸ばし、腕は耳に付けて、手をまっすぐ挙げる子どもたち。低学年時の指導によって習慣化されている
  児童同士で話を聞き合う態勢が整っていることにも、福田教頭は胸を張る。
  「6年生が司会を務める児童総会は、教師が何も言わなくても整然と進行します。あるとき、3年生の児童が発言しようとしましたが、途中で何を言うのか忘れてしまったことがありました。1分近く、みんな静かにその児童の方を向いて待ち、最終的には周囲の子どもが手助けをしました。思いやりがしっかり身についているなと嬉しく思いました」
  授業中に印象的だったのは、どの子どもも活発な発言と共に笑顔に満ちていたことだ。「勉強をさせられている」という雰囲気はない。これも「自主性を重視してきたことの表れ」と中村校長も成果の一つに挙げる。

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