「データで考える子どもの世界」
教育現場の挑戦 変化している授業形態
愛知県
東浦町立緒川小学校

1872(明治5)年開校。1978年、校舎を全面的に改修してオープンスクールとして生まれ変わった。以来、「指導の個別化」「学習の個性化」を方針として、児童の自主性を育む教育に取り組む。

宮島年夫

▲校長 宮島年夫先生

児童数 456人
学級数 17学級
所在地 〒470-2102
愛知県知多郡東浦町緒川八幡7
TEL 0562-83-2034
FAX 0562-83-8510
URL http://www.medias.
ne.jp/~hogashot/


●公開研究会等の予定:2007年11月2日(金)オープン・スクール30周年記念自主研究会「学び あふれる 学校の創造 〜生きる力を育成する教育課程の構想と実践〜」


VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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[実践事例]

愛知県 東浦町立緒川(おがわ)小学校

個別学習と集団学習をつなぎ
個性と協調性を同時に育てる

実践のポイント
1 「指導の個別化」−児童の学力差を把握し、個々に応じた指導法を検討する
2 「学習の個性化」−興味・関心や考え方といった児童の個性を指導に生かす
3 一斉授業と個別化・個性化の双方を重視し、バランスのよい人間を育てる

29年前にスタートした個別化・個性化教育

 1978年、緒川小学校は校舎を全面改修し、当時では珍しいオープンスペースを持つ学校(オープンスクール)に生まれ変わった。教室は廊下側に壁のない開放的な造りで、学年ごとに広々とした作業フロアを設け、子どもたちが自由に学習できる場として活用されている(写真1)。
写真1
写真1 作業フロアには座卓やソファなどが置かれ、授業によっては床に座って作業を進める児童もいる
  この環境を生かして、緒川小学校は、子ども一人ひとりの個性を尊重しながら指導することを謳(うた)った個別化・個性化教育をスタートさせた。管理教育が主流だった当時、緒川小学校の取り組みは、その発想も手法もすべてが斬新で、全国的にも注目された。研究授業には千人以上が押し寄せ、最寄り駅に停車する電車が増発されるほどだったという。
  そのキーワードは、「指導の個別化」「学習の個性化」だ。一見、同じような言葉だが、緒川小学校では明確に使い分けられている(図1)。研究主任の青木俊先生は、二つの言葉の意味の違いと、それぞれの内容を次のように説明する。
  「『指導の個別化』とは、到達度や学習速度といった、児童の学力に応じた指導法を検討することです。習熟度別授業などが、その例として挙げられます。一方、『学習の個性化』は、児童がそれまでの経験で培った興味・関心、ものの考え方や見方を『個性』として尊重する考え方が基本になります。例えば、『命の大切さ』を学習するとき、『難病で悩む人』に話を聞きたいと考える児童もいれば、『赤ちゃんの誕生』に着目する児童もいます。その違いを児童の個性として認め、それぞれのアイデアを突き詰めさせることが『学習の個性化』です」
▼図1 クリックすると拡大します
図1

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