学びが深まるIT活用 スペシャルインタビュー 自己学習の「道具」としてのICT
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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自己学習の道具としてICTの導入を

 子どもに自ら学ばせるための有効な手段の一つがICTだと思います。教師の指導力に頼らなくても、どの子どもも同じレベルで自己学習を進められる「道具」という視点でICTを捉え、普段の授業にも積極的に導入することが今後の課題です。
  ICTを効果的に授業に取り入れるには、研修ではICT教育の有用性を示す理論などに重点を置き、教師がICTを本質的に理解することが重要です。授業での活用法に関する「技」の部分は、実践発表や事例紹介によってたくさんのモデルを示していけばよいでしょう。
  ICTの導入によって従来の授業スタイルが崩れることを懸念する教師も少なくないようです。しかし、ICTはあくまでも道具ですから、それを使ったからといって、授業の本質が変わることはありません。また、ベテランほど従来の指導法にこだわる傾向にありますが、子どもたちに変化を感じたときには、やはり教師はこれまでの指導法を見直すべきです。近年は、学力低下や思考力の低下、忍耐力の不足などが教育現場で問題とされています。そうした問題を解決する指導として、ICT教育や、その他の指導法に可能性を求めることは決して無駄にはならないでしょう。
  また、教師がICTの導入に消極的な理由には、準備やメンテナンスに手間や時間をとられるという声もあります。確かに、教師がそれらの作業を行うのは時間的にも労力的にも大変です。教師は教育の専門家なので、技術は専門家に任せられる態勢を整える必要があるでしょう。
  もちろん、これまでの日本の教育が培ってきた価値観や伝統、文化といった点は守らなくてはなりません。しかし、その上で、勇気を出して新しい時代に必要とされる「道具」を受け入れ、授業のスタイルを変えていくべきだ、というのが私の考えです。ICTを「特別なもの」とは見なさずに、無理のないところから取り組み始めていただきたいと思います。

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