教師がつながる「授業研究」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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Point 2

教師が児童役となる模擬授業

抽出児役を教師がリアルに演じる

 05年度に原田校長の発案で始められた模擬授業も、特筆すべき取り組みだ(写真1)。これは、研究授業の準備として、教師を児童役にして授業をするというもの。
  「研究授業の準備は部会別に行っていましたが、教師全員で行えばより効果が得られると考えたのです。また、子どもの立場で捉えることで、良いアイデアが浮かぶのではないかという期待もありました」(原田校長)

写真1
写真1 研究授業の事前検討の一環として行われる模擬授業。教師が子どもの言動を想定して授業に臨む

  模擬授業の流れは、次の通りだ。
  まず、若手や中堅の教師の中から授業を行う教師を選び、教科と単元を決定する。授業を行う教師は、外部の講師(該当教科に詳しい元教師や現職教師など)を1名選び、簡潔な指導案を作成してアドバイスを求める。そして、教務主任の酒向先生も加わり、指導案と授業の流れを示した台本を作る。
  模擬授業は、研究授業の事前検討という位置付けだ。そのため、研究対象になっている授業の導入部や核になる時間帯など、10〜15分間の場面を2つ抜き出して行う。
  研修としての実効性を高めるための工夫の一つは、教師2名が抽出児役を担当することだ。担当教師と酒向先生が予想した児童の言葉を、その2名に模擬授業で発言してもらい、周りがどのように反応するかを探る。自然な反応を引き出すために、ほかの教師には抽出児役の教師を知らせない。
  もう一つの工夫は、教師を困らせる子ども役の設定だ。その役となった教師は、授業を乱したり、流れを止めたり、起こり得る範囲で授業を滞らせる。この役がだれかも、授業者を含めてほかの教師は知らない。
  模擬授業に参加する教師には、事前に指導案は渡されない。「最終的にこういう流れに落ち着かせればよいのか」「こういう発言をすればよいのか」といった先入観を持たせずに、本番に近い流れを演出するためだ。
  指導案は、模擬授業後の事後検討会で、初めて配付される。そこでの検討を基に、再度、部会による事前検討会が行われて指導案の最終版が作成され、本番を迎えるという流れだ。 


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