教育現場の挑戦 「できるところから」を合言葉に年々広がる小中5校の教科連携

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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中学校の支援の下英語活動を全学年に拡大

 次に、汐見小学校・松ヶ浜小学校・向洋中学校との間で重点的に取り組む英語に関する連携を紹介する。
  特に活発なのが、向洋中学校の英語教師が両小学校の6年生の英語活動にゲストティーチャーとして参加する試みだ。前述のように、小6生から中学校英語に対する不安を取り除くことが狙いだ。英語教師は発音や会話などを中心に教え、学級担任は授業の進行や個に応じた指導を行う。01年度から年1回実施し、04年度からは年3回に増やした。
  両小学校の英語活動の教材作りを向洋中学校の英語教師が支援したり、小学校の教師が指導力向上のために中学校英語の授業を参観したりしている。こうした支援は、英語の指導に不安があった小学校教師にとっては心強いものがあったと、汐見小学校教務主任の高橋良典先生は話す。
  「向洋中学校の支援の下、当初は高学年だけだった英語活動を低・中学年にも広げることができました。今では教材も充実し、どの教師でも同じ内容を指導できるようになりました」
  こうした取り組みを通して各校の教師間のコミュニケーションが深まったことから、教師は研究対象の教科や活動以外のことについても日常的に話すようになった。例えば、小学校の理科の実験で原因不明の誤差が生じたときに中学校教師に電話で気軽に相談できたり、小学校の学習発表会の練習場所として中学校の武道館を借りたりしたこともあった。佐藤先生は次のように話す。
  「家族の仲が良いと、子どもが幸せな気持ちになれるように、小中の教師の連携が深まると、子どもは安心して中学校に進学できます。これは、いわゆる中1ギャップの克服にも大きな効果があります」

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