つながる「保護者」と「学校」
埼玉県 春日部市立幸松小学校

埼玉県 春日部市立幸松小学校

1873(明治6)年開校。春日部市の指定無形民俗文化財のお神楽をはじめ、伝統文化が色濃く残る地域に立地。校区には15年ほど前からマンションが増え、他地域から来た住民も多い。近年は地域性を生かした教育に力を注ぐ。

校長●元山清博先生

児童数●599名

学級数●20学級(うち特別支援学級1学級)

所在地●〒344-0006 埼玉県春日部市八丁目353-1

TEL●048-752-3215

FAX●048-763-9677

URL●http://academic2.
plala.or.jp/komatu8/


公開研究等の予定●2007年11月18日(日)に学習公開を実施予定 (公開研究の開催は別途検討中)


元山清博

▲春日部市立幸松小学校校長

元山清博
Motoyama Kiyohiro

市川俊雄

▲春日部市立幸松小学校

市川俊雄
Ichikawa Toshio
教務主任

戸崎由美子

▲春日部市立幸松小学校

戸崎由美子
Tosaki Yumiko
教育心理・相談主任。5年生担任
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例1】

担任1人でなく、組織全体で保護者と向き合う

埼玉県 春日部市立幸松(こうまつ)小学校

保護者が他校の取り組みを羨ましがる傾向があり、一時期はPTAとの関係が必ずしも良好とはいえなかったという幸松小学校。しかし、保護者一人ひとりの意見に対して、学校全体でフォローするようになってから、その関係は大きく改善しつつある。

保護者の声には組織全体ですぐに対応

 2007年度で開校134年目を迎える幸松小学校。校区は、伝統文化の色濃く残る農村地域と、15年ほど前からマンションが増え始めたエリアに二分される。両地域の保護者には、やや異なる傾向があるという。
  「農村地域には、代々、本校に通う家庭が多く、保護者は本校に愛着を持ち、誇りに思っています。一方、新興エリアには、近隣の小学校と比較するなどして、何かにつけて学校に意見を言ってくる保護者が少なからずいました」(教務主任・市川俊雄先生)
  異なるタイプの保護者の混在が、学校の対応を難しくしていた。04年度に元山清博校長が赴任した当時も、保護者アンケートなどには、学校への要望が多くみられていたという。
  いかにして保護者一人ひとりの満足度を高めていくか―。元山校長がまず提案したのは、保護者の声に対する対応を早めることだ。その日のうちに対策を示すことを原則とし、時間を要するケースであれば「2、3日、時間をください」などと時期を明確に伝える。「学校に言えば、すぐに対応してくれる」という安心感を持ってもらうことが大切だと考えたのだ。
  そして、保護者への対応は担任だけに任せず、学年主任や教頭が中心になって「組織」で動くようにした。例えば、朝、保護者から「子どもが学校に行きたくないと言っている」という電話が入ったとする。その情報は、学年主任に報告後、担任に伝えられる。仮に担任が「昨日、強く叱った」ということなら、学年主任が担任と一緒に児童の自宅を訪れ、事情を説明する。その狙いは、保護者に「学年全体で対応している」姿勢を示すことだ。学年主任では対応しきれない場合は、教頭が間に入る。しかし、校長はすぐには表に出ない。校長の言葉は学校の最終決定という意味を持つため、あとから修正するのが難しいからだ。
  子どものけんかや怪我といったトラブルがあり、保護者から問い合わせが来そうな場合にも、担任はほかの教師と情報を共有しておく。だれが電話を受けても「大変でしたね」「大丈夫でしたか」と気遣うことができるからだ。忌引きの情報も皆に伝えて、「この度は大変でしたね」「お悔やみを申し上げます」といった言葉を添えるようにしている。
  「たったの一言ですが、それが保護者の気持ちをずいぶんと和らげます」(市川先生)
  担任自身にとっても、日頃から情報を共有している意義は大きい。1人で問題を抱え込まずに済み、ベテラン教師からアドバイスを受けられるからだ。
  こうした学校の対応は、保護者の態度を明らかに変えたと市川先生は喜ぶ。
  「『最近、先生のフットワークが軽い』『だれが電話に出ても話が通じる』といった声が保護者から寄せられています。サービス精神を持つことの大切さを実感します」


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