つながる「保護者」と「学校」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教師が子育ての先輩になる「保護者相談日」を設置

 保護者との関係を深める取り組みとして重要な役割を果たしているのが、「保護者相談日」だ。以前、幸松小学校では、毎年12月に保護者全員と個人面談を行っていた。しかし、1人あたり10分程度と時間が短いため、子どもの学校での様子を一方的に伝えることしかできず、また課題があっても進級までの残り3か月間では十分に対応できないという悩みもあった。保護者からも「時間が短く、言いたいことも言えない」と不満が寄せられていた。
  そこで、06年度に個人面談を廃止し、10、11月の数日間を「保護者相談日」と設定し、1人1時間程度の話し合いを行うことにした。気になる子どもの保護者を呼ぶと共に、教師に相談のある保護者には自発的に来校してもらう形にしている。
  「5月の家庭訪問で保護者全員と話す機会はありますから、保護者相談日は本当に必要な保護者だけに絞っています」(元山校長)
  話の内容は、学習面や友人関係、担任への希望、中学受験、心や体の問題などさまざまだ。教育心理・相談主任の戸崎由美子先生は次のように話す。
  「『自分の話を聞いてくれる』という安心感が得られるように、共感の気持ちを持って耳を傾けましょうと、教師には呼びかけています。1時間も話すと、最後の方には保護者の本音がだいぶ聞けるようになります」
  相談に応じる教師は担任に限定せず、保護者の希望によって決めている。その狙いの一つがベテラン教師の経験を生かすことだ。
  幸松小学校は教師の平均年齢が比較的高く、以前は保護者アンケートで「もっと若い教師を入れてほしい」という要望が寄せられていた。しかし、元山校長は「人生経験が豊富だからこそ、子育ての先輩としてアドバイスできることもある」と、その状況を逆に利用したのだ。ベテラン教師と話した保護者からは、「話を聞いてもらってホッとした」などと喜ぶ声が数多く寄せられている。


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