つながる「保護者」と「学校」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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自由記述欄を大きくした学校評価アンケート

 2005年度には、一人ひとりの保護者の声を知るため、学校評価アンケートを始めた。
  「PTAの意見として集約されず、個別に抱えたままの不満や要求もたくさんある。それを引き出すのが狙いでした」(前川校長)
  しかし、初めての試みとあって、教師の間では不安が大きかった。そのため、最終的に四つの質問項目と自由記述欄を設けた最低限のアンケートとなった。質問には4段階で評価する形式で、「学校や学年の様子を行事やおたよりなどで、わかりやすく伝えている」「学校は児童の安全面において配慮ができている」などだ(図1)。
  アンケートの回答率は60%以上あり、すべての項目に9割以上の保護者が肯定的な評価を寄せた。自由記述欄には、びっしりと書き込む保護者が多く、指摘や要望もあるものの、基本的には学校を支持し肯定する声が多かった。
  「集計結果を見て教師はひと安心し、一部の批判や指摘も謙虚に受け止めることができました」
  06年度は、質問項目を五つに増やして自由記述欄も拡大、A4用紙3枚に及んだ(図2)。更に、より深い観点で評価してもらうために、「内部評価」として、質問項目に対して学校の意見や反省を載せた。
  結果を保護者に伝えることも忘れない。グラフなどを交えた集計結果は、1か月後に臨時の校報として保護者に配付し、ウェブサイトにも掲載した。
  その校報には、具体的な対策だけでなく、保護者へのお願いも盛り込んでいる。例えば、岩園小学校は、通常の授業参観や日曜参観、オープンスクールなど、保護者への授業公開に積極的だ。ところが、アンケートには、「フルタイムの仕事をしているから参加できない」といった声も複数寄せられた。それに対し、「年間計画として事前にお知らせしているので、できれば計画的に休暇を取ってほしい」と要望する一方で、「行事以外でも、いつでも教室を見に来てください」とも書き添えている。
  学校評価アンケートを始めてから、以前に比べて保護者との関係が深まっていると前川校長は実感している。 
  「一人ひとりの意見を丁寧に聞く姿勢が評価されていると感じます。『言いたいことを言う機会ができた』と喜ぶ保護者もいるようです」
  PTA会長には、「今までは学校に言っても何も変わらないと思っていたが、必要なことは取り入れてくれるようになった」と評価されているという。
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図1、2

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