つながる「保護者」と「学校」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「授業診断」の厳しい意見も保護者にすべて公開する

 学校に寄せられた意見や抱えている課題を公開し、解決策を保護者と一緒に考えていくことも、保護者の当事者意識を高めている。その一つが年2回、各1週間行う授業公開だ。
  保護者や地域住民は、参観した授業を「授業診断シート」に沿って評価し、裏面の自由記述欄に感じたことや疑問を書き込む(図1)。評価結果と記入者を伏せた自由記述のシートは、授業者ごとにまとめ、教師と保護者に配付する。授業公開の約2週間後には、保護者を交えての意見交流会を学年ごとに開き、この結果を基に学年運営などについて話し合う。
図1
  07年度6月の授業公開では厳しい評価を受けた学級があり、意見交流会の前に臨時保護者会を開いた。学級担任、校長、副校長、主幹、同学年の教師らが集まった保護者と向き合ったが、ここではまず学級担任が話を切り出した。「ご意見を拝見し、クラスの課題がわかりました。私としては、こういう学級をつくりたいと思っています。ですから、Aというご指摘に関しては誤解です。BとCの課題については率直に受け止め、いつまでにこのように解決していきます……」と話を進めていく。
  「最初に保護者の意見を聞くと、不満だけが噴出する可能性が高い。先に担任が認めるべき点は認め、課題と解決法を提示することで、保護者から建設的な意見が出るような雰囲気にしました」(三原校長)
  授業診断シートは保護者が互いの考えを知ることができる利点もある。行き過ぎた意見に保護者から「ここまで書かなくても」と声が挙がることもあり、度を過ぎた要求の抑止力にもなっているという。こうして保護者の意見を定期的にくみ上げていくことが、クレーム防止につながっていると三原校長は話す。
  「保護者の意見をとことん聞き、課題を浮き彫りにし、保護者も交えて解決の方法を話し合い、今後の方向性を共有する。これらをすべて公開することが、保護者が陰で不満を募らせることを防いでいるのです」
  「学校は私たちの意見を聞いて、改善してくれた」と思えて初めて、保護者は学校を信頼する。その積み重ねが保護者の参画につながることを、五反野小学校の取り組みは示唆している。
図2
まとめ
年度当初にスケジュールを明確にして、保護者に学校支援を求める
保護者が「私たちの意見が反映された」と実感できる取り組みを行う

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