教育現場の挑戦 子どもの「考える力」を呼び起こす「教えて考えさせる授業」の実践

神奈川県横浜市立本町小学校

神奈川県横浜市立本町小学校

【School Data】
1905(明治38)年開校。校区には昔ながらの商業地域と、横浜みなとみらい21など再開発地区が混在する。97年から6年間、「総合的な学習の時間」の研究を進めたあと、学習マナーや「聞き方・話し方」といった基礎教育の徹底に立ち戻る。その成果を発展させる形で06年から「教えて考えさせる授業」の研究を始めた。

校長●松本安博先生

児童数●482名

学級数●16学級(うち特別支援学級2学級)

所在地●〒231-0063 横浜市中区花咲町3-86

TEL●045-231-0141

TEL●045-262-5065

URL●http://www.edu. city.
yokohama.jp/sch/es/honcho/


公開研究会実施予定●2007年11月9日(金)に公開授業(4校時、5校時)、研究協議会、講演を実施予定


松本安博

▲横浜市立本町小学校校長

松本安博

永池啓子

▲横浜市立本町小学校副校長

永池啓子
Nagaike Keiko

副島江理子

▲横浜市立本町小学校

副島江理子
Soejima Eriko
研究推進委員長
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 1/5 次ページ

教育現場の挑戦

そのとき、子どもは、教師はどう変わったか

神奈川県横浜市立本町(ほんちょう)小学校

子どもの「考える力」を呼び起こす「教えて考えさせる授業」の実践

実践のポイント
Point1 子どもが自ら考えるように、教師が導く
Point2 子ども同士の学び合いで学習を深める
Point3 教師間にも高め合う関係を構築する

探究型学習の土台となる学力の育成に着手

 現在の本町小学校の取り組みは、1997年からの「総合的な学習の時間」(以下、「総合学習」)の研究成果を感じながらも、6年間の研究の中から新たな課題が見えてきたことがきっかけで始まった。それは、探究型学習は、土台となる学力の上でより効果的に成り立つと実感したことだ。更に、本町小学校の実態として学力の二極化が顕著になり始め、「総合学習」でも、自ら進んで探究を深められる子がいる一方で支援が必要な子もおり、個に応じた指導をどのように進めていくかも課題だった。
  まずは、子どもに豊かな学びの環境を保障し、学力の底上げを図ることが先決ではないか……。そんな思いから、03年に基本的な学習環境の整備へと重点を移した。全校を挙げて、鉛筆の持ち方や筆箱を置く位置に始まる細かな「学習マナー」を徹底的に指導。コミュニケーションに不安を抱える子どもが多かったことから、「聞き方上手」「話し方上手」という目標を掲げ、互いに聞き合い、話し合うスキルの育成に力を注いだ。
  こうした指導を3年間続けた結果、子どもに劇的な変化が表れたと、研究推進委員長の副島江理子先生が振り返る。
  「以前は落ち着いて話を聞けない子どももいて、授業を中断することがたびたびありました。それが一変して、集中して授業に臨み、『授業が好き』『みんなで学ぶのが楽しい』という気持ちを表す子どもが増えたのです」
  ただ、子ども間の学力差への有効な対処法を提示できていなかった。そこで、教科学習の授業設計をきちんと考え直すことに取り組んだ。こうして、06年、東京大大学院教育学研究科の市川伸一教授の指導の下、「教えて考えさせる授業」の研究が始まった。


   PAGE 1/5 次ページ
目次へもどる
小学校向けトップへ