ベネッセの研究開発:ベネッセ次世代育成研究所〜就学前の親子や子育て環境について調査・研究を行う
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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乳幼児の父親について調査・研究

 当研究所が最初に行ったのは第1回乳幼児の父親についての調査だ。母親への支援と共に父親が家庭や地域にかかわることの重要性が指摘されているが、父親の子育ての実態や意識を明らかにする調査はこれまでほとんど行われてこなかった。乳幼児の父親は子育てにどのようにかかわっているのだろうか。
  まず子どもと過ごす時間は、平日は「1〜2時間未満」が27.0%と最も多い。一方、子どもと過ごしたい時間は「2〜3時間未満」が最も多く、32.6%だった。休日は、平日に思うように子どもと過ごせない反動からか「10時間〜ほぼ1日」が最も多く、50.4%となった(図1)。
  父親の育児参加により、母親の子育てに対する不安の軽減や母子密着の問題が緩和され、子育てにプラスに作用することは大いに期待できる。それは、子育てしやすい社会への第一歩でもある。今後、これらの結果をベースに、父親の存在が子どもの成長や家族に与える影響を追い、母親を中心とした従来の子育て支援にはなかった視点を提供したい。
  また、乳幼児のテレビ・ビデオ視聴についても研究している。過度な視聴は一部の研究者から警告が発せられているが、子どもの発達にはさまざまな生得的、環境的要因が絡むため、メディア視聴と子どもの成長との関連性をすぐに明らかにすることは難しいと指摘する研究者もいる。

図1

  メディアとのよりよい付き合い方を研究するため、発達心理学や小児医学などの専門家から成る「親と子のメディア研究会」を立ち上げた。エビデンス(客観的事実)に基づいた考察と討論を活動の基本方針とし、乳幼児のメディア視聴の現状も調査した。これらの成果は乳幼児の保護者向けのウェブサイト「小さな子どもとメディア」(図2)で紹介している。メディアの上手な活用法や親子コミュニケーションの取り入れ方など、参考にしていただければと思う。

▼図2 ウェブサイト「小さな子どもとメディア」
ウェブサイト「小さな子どもとメディア」

  06年11月には、初めて親になる夫婦が妊娠・出産・子育てにどのように対応しているのかを探る第1回妊娠出産子育て基本調査を実施した。この調査では、妻の47.1%、夫の54.6%が、赤ちゃんと身近に接したり、世話をする経験がないまま出産を迎えている実態が明らかになった(図3)。子育ての知識やノウハウがないまま親になる人への支援の必要性が改めて感じられる。このような実態を把握し、安心して子育てができる環境づくりについて、引き続き調査・研究を進めていきたい。

図3

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