新学習指導要領へのアプローチ 第1回 「言語活動」で広がる学び

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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Pick up 中央教育審議会 「審議のまとめ」(07年11月)より引用
(1) 言語活動の充実
 各教科等における言語活動の充実は、今回の学習指導要領の改訂において各教科等を貫く重要な改善の視点である。
  それぞれの教科等で具体的にどのような言語活動に取り組むかは8(注1)で示しているが、国語をはじめとする言語は、知的活動(論理や思考)だけではなく、5(7)(注2)の第一で示したとおり、コミュニケーションや感性・情緒の基盤でもある。
  このため、国語科において、これらの言語の果たす役割に応じ、的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重して伝え合う能力を育成することや我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視する。具体的には、特に小学校の低・中学年において、漢字の読み書き、音読や暗唱、対話、発表などにより基本的な国語の力を定着させる。また、古典の暗唱などにより言葉の美しさやリズムを体感させるとともに、発達の段階に応じて、記録、要約、説明、論述といった言語活動を行う能力を培う必要がある。
 各教科等においては、このような国語科で培った能力を基本に、知的活動の基盤という言語の役割の観点からは、例えば、
  • 観察・実験や社会見学のレポートにおいて、視点を明確にして、観察したり見学したりした事象の差異点や共通点をとらえて記録・報告する(理科、社会等)
  • 比較や分類、関連付けといった考えるための技法、帰納的な考え方や演繹的な考え方などを活用して説明する(算数・数学、理科等)
  • 仮説を立てて観察・実験を行い、その結果を評価し、まとめて表現する(理科等)
    など、それぞれの教科等の知識・技能を活用する学習活動を充実することが重要である。
      また、コミュニケーションや感性・情緒の基盤という言語の役割に関しては、例えば、
  • 体験から感じ取ったことを言葉や歌、絵、身体などを使って表現する(音楽、図画工作、美術、体育等)
  • 体験活動を振り返り、そこから学んだことを記述する(生活、特別活動等)
  • 合唱や合奏、球技やダンスなどの集団的活動や身体表現などを通じて他者と伝え合ったり、共感したりする(音楽、体育等)
  • 体験したことや調べたことをまとめ、発表し合う(家庭、技術・家庭、特別活動、総合的な学習の時間等)
  • 討論・討議などにより意見の異なる人を説得したり、協同的に議論して集団としての意見をまとめたりする(道徳、特別活動等)

などを重視する必要がある。

 5(2)(注3)でも述べたとおり、各教科等におけるこのような言語活動の充実に当たっては、特に教科担任制の中・高等学校の国語科以外の教師が、その必要性を十分に理解することが重要である。そのためには、学校が各教科等の指導計画にこれらの言語活動を位置付け、各教科等の授業の構成や進め方自体を改善する必要がある。
 なお、このように各教科等における言語活動を行うに当たっては、これらの学習活動を支える条件として次のような点に特に留意する必要がある。
  第一は、語彙を豊かにし、各教科等の知識・技能を活用する学習活動を各教科等で行うに当たっては、教科書において、このような学習に子どもたちが積極的に取り組み、言語に関する能力を高めていくための工夫が凝らされることが不可欠である。また、特に国語科においては、言語の果たしている役割に応じた適切な教材が取り上げられることが重要である。
  第二に、読書活動の推進である。言語に関する能力をはぐくむに当たっては、読書活動が不可欠である。学校教育においては、例えば、国語科において、小学校では、児童が日常的に読書に親しむための指導内容を、中学校においては生徒の読書をより豊かなものにするための指導内容をそれぞれ位置付けるなど、各教科等において、発達の段階を踏まえた指導のねらいを明確にし、読書活動を推進することが重要である。もちろん、読書習慣の確立に当たっては家庭の役割が大きい。学校、家庭、地域を通じた読書活動の一層の充実が必要である。
  第三は、学校図書館の活用や学校における言語環境の整備の重要性である。言語に関する能力の育成に当たっては、辞書、新聞の活用や図書館の利用などについて指導し、子どもたちがこれらを通して更に情報を得、思考を深めることが重要である。また、様々なメディアの働きを理解し、適切に利用する能力を高めることも必要である

(「注」は編集部が記載)

  注1 8.各教科・科目等の内容  
注2 5.学習指導要領改訂の基本的な考え方(7)豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実

注3 5.学習指導要領改訂の基本的な考え方(2)「生きる力」という理念の共有

 


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