新学習指導要領へのアプローチ 第2回 学びが深まる「算数的活動」

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ポイント1:算数的活動

知識・理解を確かにするため「体験」というくさびを打ち込む

 小学校における算数的活動とは、端的に言って、具体的な事物の操作活動を通じて学習の理解度を深める活動を指しています。
 例えば、4年生で長方形の面積の求め方を学習するとき、先生は子どもにいきなり公式を教えるようなことはしないと思います。ある大きさの長方形を示して、「この長方形の中に、一辺が1cmの正方形のタイルを何個敷き詰めることができるかな?」と子どもに問いかけ、実際にタイルを手に持たせて取り組ませるといった活動をするでしょう。こうした活動を取り入れると、子どものうちの何人かが必ず気づくものです。
 「縦に8つ、横に5つのタイルを敷き詰めることができたから、全部タイルを敷き詰めなくても、長方形の中に8×5で40個のタイルが入ることがわかります」というようにです。
 このように、子どもは算数的活動を通して、「長方形の面積=縦×横」という公式を身につけます。もし、子どもがこうした活動をせずに公式だけを教わっていたとしたら、その公式を忘れた途端、長方形の面積は求められなくなってしまうでしょう。けれども、算数的活動を経験していれば、体験を手がかりにして、もう一度公式を学び直すことが可能なはずです。
 また、算数は、具体から抽象へと向かう教科です。例えば、「白い犬3匹、黒い犬4匹」を「3個のおはじきと4個のおはじき」に置き換えることで抽象化します。更に、「3個と4個のおはじき」を「3+4」という数式に、やがては数式を「xとy」という文字式に抽象化していきます。この具体から抽象へのジャンプを子どもにとって緩やかなものにするためには、一つ上の抽象の段階に移行する前に、具体物を使った算数的活動をできるだけ豊富に経験させることが重要です。その上で、抽象へと引き上げることがポイントとなります。
 いわば算数的活動は、子どもたちの「知識・理解」や「表現・処理」を確かなものにするために、「体験というくさびを打ち込む」役割を担っているのです。


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