つながる学校と家庭の学び

東京都北区立
赤羽小学校

◎1876(明治9)年創立の伝統校。商店街の中に位置し、2002年度から文部科学省「学校評価システムの確立に関する調査・研究」に取り組む。04年度からは東京都教育委員会「特別支援教育体制・副籍モデル事業」の拠点校として3年間研究を行った。

 

校長◎岩津泰彦先生
児童数◎528名 
学級数◎26学級(うち特別支援学級4学級/ 言難通級学級6学級)
所在地◎ 〒115-0045 東京都北区赤羽1‐24‐6
TEL◎03-3901-8510
URL◎http://www.kita
-tky.ed.jp/~es16/


岩津泰彦

東京都北区立赤羽小学校校長

岩津泰彦

Iwatsu Yasuhiko

田中一男

東京都北区立赤羽小学校

田中一男

Tanaka Kazuo

主幹教諭
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 1/5 次ページ
新連載

つながる学校と家庭の学び

【実践事例】 東京都北区立赤羽小学校

「音どくカード」で家庭と協力して
子どもの学力を伸ばす

学校と家庭が連携して子どもを育む重要性が改めてクローズアップされている。
どうすれば子どものために、うまく学校と家庭が連携できるのか。
東京都北区立赤羽小学校では、学校評価の導入を皮切りに
開かれた学校づくりを始め、保護者との連携を深めている。

保護者が訪問しやすいよう年33回の学校公開日を設定

 北区立赤羽小学校は、JR赤羽駅に近い商業地に位置する。特別支援教育のモデル校である同校には、軽度発達障害のある子どもや外国籍の子どもが多い。多様な背景を持つ子どもに配慮しながら、保護者の理解を得て教育活動を進めることに重点を置いている。
 同校では、2002年度に学校評議員制度を活用した学校評価を導入。マイナス評価も含めて情報公開を徹底し、開かれた学校づくりを進めてきた。学校だよりやウェブサイトで情報公開をするだけでなく、年間33回に及ぶ学校公開日を設定。保護者に直接、学校に足を運んでもらう機会を増やすことで、学校への理解を深めてもらおうとしている。

子ども・保護者・学校をつなぐ「音どくカード」

 保護者との協力関係は、家庭学習習慣に関する取り組みにも表れている。同校では、毎年4月に保護者全員を対象とした学校説明会を開く。学力向上には基本的な学習習慣と生活習慣の確立が重要であり、それには家庭の協力が必要であると説明。年度当初に、家庭での役割をしっかり理解してもらうようにしている。毎日の宿題となっている「音読」には、家庭と学校が連携しやすいように「音どくカード」(図1)を活用している。

図1

 同校では、国語の教科書の音読に力を入れている。声に出して読むことで、場面を想像したり、作者や登場人物の気持ちを考えたりするなどの読解力を高めることが狙いだ。毎日の宿題として1日1回以上の音読が全学年に課されているが、このときに保護者は子どもの音読を聞いて「音どくカード」にサインをする。翌日、子どもはカードを担任に提出。担任はコメントを書いて、下校までに子どもに返す。保護者は担任のコメントを読むことで、学校での子どもの様子がわかるという仕組みだ。
 保護者もかかわる形で音読を宿題にしたねらいについて、岩津泰彦校長は「子どもの音読を保護者が聞くことで、『上手だったね』など親子の会話のきっかけづくりができます。保護者には『音読の時間はたった5分。必ず毎日聞いてください』と保護者会などで強くお願いしています」と話す。記入欄が狭いにもかかわらず「聞いていて話の内容がよくわかるようになりました」といった感想を書く保護者も多く、子どもの励みになっているという。保護者は子どもの成長を感じることができ、学校への関心も生まれる。一方、子どもにとっては親からの励ましによって、学習意欲を高めながら家庭学習の習慣を身につけられるという効果がある。


   PAGE 1/5 次ページ
目次へもどる
小学校向けトップへ