新学習指導要領へのアプローチ 第3回 「問題解決能力」を高める理科指導
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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書かせたい考察を想定し授業を組み立てる

 書き方モデルの導入により、理科の授業の展開は大きく変わった。
 「問題解決の流れを踏まえない授業では、書き方モデルを用いた考察は書けません。授業の中でどのような考察をさせたいかを考え、そこにたどり着くための流れを考えて授業を組み立てるようになりました」(西浦先生)
 板書は左から右へと思考の流れを追って書き、考察を書く際に子どもが見直しできるようにしている。同じように、ノート指導では、思考を振り返らせるために「めあて」「予想」「実験方法」「結果」などを整理して書かせる。学習の流れがきちんと整理されているため、各単元の最後に、学んだことをノートにまとめる際にもノートを見直しやすい。西浦先生の場合、ノートを保護者に見せて、子どもや教師へのコメントを書いてもらっているが、保護者が見ても、学習内容が一見してわかる。
 より密度の濃い授業にするため、08年度には「見取り表」をつくった。これは、授業中の声かけや子どもの反応を事前に具体的に想定したものだ。あらかじめ子どもの思考の流れをシミュレーションすることにより、教師は気持ちに余裕を持って授業に臨め、子どもの小さなつぶやきも見逃さないようになった。
 「授業を通して考えさせたり気づかせたりしたいことを、教師がより明確に意識するようになりました。このような授業の準備をしっかりすることで、子どもの思考力を更に伸ばせるのではないかという手応えを感じています」(西浦先生)
 子どもの思考力が育っているのを実感するのは、夏休みの自由研究だ。以前に比べ、詳しく指導しなくても、質の高い作品を提出する子どもが増えたという。書き方モデルを通して培った思考力は、幅広い応用力を備えているといえそうだ。


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