つながる学校と家庭の学び

茨城県古河市立名崎小学校

◎1875(明治8)年創立の歴史ある学校。1999年より3年間、茨城県の「新しい時代を拓く学校教育支援事業」の研究校として研究を実施。地域や家庭との連携を重視し、開かれた学校づくりを推進している。

 

校長◎皆川晴巳先生
児童数◎550名 
学級数◎21学級(うち特別支援学級3学級)
所在地◎ 〒306-0101 茨城県古河市尾崎4200
TEL◎0280‐76‐0099
URL◎http://www.
koganet.ne.jp/~sanwa005/


嶋山由美子

茨城県古河市立名崎小学校

嶋山由美子

Shimayama Yumiko

3学年主任
今田昌秀

茨城県古河市立名崎小学校

今田昌秀

Imada Masahide

3学年担任
「理科おもしろ実験クラブ」顧問
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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つながる学校と家庭の学び

【実践事例】 茨城県古河(こが)市立名崎小学校

楽しい科学実験を通して
子どもと保護者が交流し興味・関心を育てる

茨城県古河市では、地域の科学サークル「総和おもしろ科学の会」と
学校が協力して、科学に対する子どもの夢や関心を育んでいる。
同市の名崎小学校で行われた「親子科学教室」の様子から、
子どもと保護者が交流しながら、科学に対する意欲や関心を高めるヒントを探る。

地元の科学サークルと協力する「親子科学教室」

 6月のある平日の午後、名崎小学校の体育館に3年生の児童全員とその保護者が集まった。ステージ前には長テーブルが置かれ、その上にペットボトルやアルミ缶などが並べられている。
 会場の拍手に迎えられて登場したのは、地元住民による科学サークル「総和おもしろ科学の会(以下、科学の会)」の会長の峰政夫さんと副会長の山室秀行さんだ。挨拶のあと、2人はペットボトルにライターを近づけた。実は、このペットボトルはアルコールを燃料にした、お手製のロケットである。引火すると、「ポン」という高い音と共にロケットが高く打ち上げられ、子どもたちから大きな歓声がわき上がった。峰さんが「手伝ってくれる人はいますか」と声をかけると、子どもたちの手が一斉に挙がる。単純な装置ながら想像以上に飛ぶためか、保護者の間からも感心の声が起こった。
 次は、親子で取り組むホイッスルとブーメラン作りだ。子どもたちは目を輝かせながら説明を聞き、保護者の助けを借りながら熱心に手を動かす。峰さん、山室さんと共に3学年の教師たちも総出で、子どもたちの質問に対応する。でき上がると、多くの子どもがホイッスルの音やブーメランの飛び具合を確かめ、自分なりに微調整をしている。中には、特に教わったわけでもなく、自発的にホイッスルに音階を付けようと試行錯誤をしている子どもも見受けられた。
 最後に、希望する子ども全員が前に出て、実験に協力する。内部を水素と酸素で満たした長いビニールホースを子どもたちが支えたら、峰さんがホースの口にライターの火を近付ける。パンと大きな音がして、子どもたちはびっくり。こうして、大盛況のうちに実験は終了した。
 これは、同校が毎年1回、3年生を対象に行っている「親子科学教室」の様子だ。「総合的な学習の時間」の1コマで、身近な材料を使いながら音や衝撃を間近に体験でき、好奇心をくすぐるような実験や工作を「科学の会」の協力を得て行っている。3年前に初めて実施して以来、毎年恒例の行事として定着した。

「総和おもしろ科学の会」について
 設立の経緯 

 1993年に旧・総和町の西牛谷小学校PTAの有志が、父親の学校教育への参加促進を目的に結成した「おやじの会」が母体。当時から、身近な材料を使った科学実験を子ども向けに実施していた。95年には地区住民や教師の参加を得て、「科学クラブ」と名乗るようになった。

 現在の活動 

 現在、会員は30人以上。市内の小・中学校で年間30回を超える出前実験を行っている。実験のノウハウは、製造業、元理科教師などの会員が提供。10年に渡る活動の実績から、実験のレパートリーは100以上にも上る。古河市内はもちろん、市外・県外へも活動範囲を広げている。出前実験にかかる費用は交通費のみで、基本的にはボランティア。
 出前実験・公開実験は、地域住民同士の交流の場ともなっている。古河市は東京から電車で約1時間、全就業者の約1割が都内に通勤するというベッドタウン。新旧住民のつながりが希薄になりがちな状況にありながら、出前実験を通して保護者の学校教育への参加が促され、住民同士や、住民と学校のつながりが強まったという。
 「今後は活動拠点として教育センターを利用するなどハード面の整備もしていきたい」と、会長の峰さんは意欲的だ。


 主な活動 

●小・中学校・教育機関への出前科学実験教室の実施
●青少年のための科学の祭典・古河大会の企画・運営
●緑の中の科学教室の企画・運営
●青少年のための科学の祭典・全国大会への参加
●地域少年少女サークル活動の支援

峰 政夫 総和おもしろ科学の会
峰 政夫 会長
山室秀行 総和おもしろ科学の会
山室秀行 副会長

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