低学年からの学びと指導 日々の指導で育む「書く力」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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〈実践に見られる工夫(1)〉
算数でも絵を描きほかの子の良い点を学ぶ

 低学年では、「かくこと」の中に絵での表現も含まれている。1学年担任の渡辺洋之先生は、算数の授業で子どもに絵を描かせる(下図「算数科」参照)。
 「なぎさんは、おはなを7ほんもっています。いくこさんに4ほんあげました。のこりはなんぼんですか」
 このような文章題の具体的な場面を絵に描かせるのだ。花を7本丁寧に描く子もいれば、人物は描くが花を描かずに数字で簡略化している子もいる。
 渡辺先生は、「聞かれているのは、残りは何本かですか?ですよ」と声をかけながら子どもの間を回る。そして、花の数が移動している様子など、引き算の概念を絵でうまく表現できている子どもに黒板に描かせる。

 図)算数科での指導例
算数科

 「子どもたちは、友だちが黒板で発表したものを見て、『こうした方がわかりやすい』『早く描ける』と思えば、どんどん取り入れます。そのため、最初に描いた絵に比べると、簡略化していきます。絵や図は目で見てわかりやすく、友だちの発表のよい点を真似しやすいのです」と渡辺先生は説明する。
 目で見て学ぶ効果は、生活科でも顕著に表れる(下図「生活科」参照)。
 「植物の観察日記で『葉の裏側がざらざらしていた』と書いた子どもの絵と文を紹介すると、『本当だ、ざらざらしている』と、その着眼点をほかの子もすぐ取り入れていきます。『色に注目してみたんだね』『触ってみたんだね』と、その着眼点がわかるように紹介すると、観察の仕方や調べ方がほかの子にも広がりやすくなります」(菅野先生)
 絵や図も書く力を育てる手段として位置付け、低学年から書くことを習慣付け、自分の考えをしっかり持てるようになることを目指している。

 図)生活科での指導例
生活科

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