移行措置対応のポイント 第2回 「活用」から見る算数の授業
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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―― 具体的にはどのような授業ですか。
齊藤 「授業をゼロからつくり直す必要がある」と思っているとしたら、それは誤解です。今の教科書を基にして、少し工夫するだけでも活用を取り入れた授業は出来ます。
中村 授業例【1】の「分数のわり算」は、その好例です。教科書にある数直線の図を見せるだけで、子ども自身に作成させない先生も多いようですが、数直線は数感覚を身に付けるには非常に有効です。この例では、数直線の作図を通して、整数や小数で学んだことが分数にも通じることを理解させ、数の広がりを実感させています。更に、分数のわり算の学習で最大の壁となる「なぜ分母と分子をひっくり返してかけるのか」という疑問の解消にもつなげています。
齊藤 「分数のわり算の指導に、なぜこれほど時間を掛けるのか」と思うかもしれません。確かに技能の習得だけなら、解き方を教え、計算練習をさせるほうが早いでしょう。しかし、ここでのねらいは、「数感覚を身に付けると共に根拠を明らかにし、筋道を立てて考える力を育成すること」にあります。本来のねらいを達成するには、活用という視点がおのずと含まれることが理解出来るはずです。
中村 習得だけを重視した授業は、教え込めば効果が出やすいものです。しかし、活用ではそうした教え込みは無意味です。「なぜそうなるのか」「他の問題でも使えるのか」といった見方やアイデアを、子ども自身に考えさせ、出させることが何より大切だからです。
「活用」の視点を取り入れた授業例【1】
単元 分数のわり算(6年生)
ねらい ・整数や小数で学んだ比例関係が分数にも通じることを理解させ、数の広がりの不思議さを実感させる。
・数感覚や筋道を立てて考える態度を育てる。
 NG例 分数のわり算の意味が分からずに、計算の形式的手続きのみが出来るようになる
「活用」の視点を取り入れた授業例【1】
*授業例【1】〜【4】は、中村先生・齊藤先生が提案した内容を編集部がまとめた

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