移行措置対応のポイント 第2回 「活用」から見る算数の授業
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「活用」を取り入れた指導案の工夫

 佐藤先生が指導する「小数倍」の授業の流れを紹介する(P12〜13)。既習の整数倍や小数、数直線などを活用し、小数倍の意味を考えさせるのが授業のねらいだ。
 この授業も問題解決型の展開で、冒頭で12mと5mのリボンを提示し、「12mは5mの何倍か」とまず予想させる。筆算や数直線、テープ図といった既習内容から子ども自身が解決に適する方法を選び、自力解決の後、皆の考えを比較検討して共同で思考を深める。
 指導案は、佐藤先生が教科書の内容を一工夫する。教科書の「倍を表す数値」は「2.5倍」だが、授業では「2.4倍」を用いた。
 「小数第1位が5となる場面は、『半分』『2分の1』ととらえられるため、子どもは理解しやすい。半面、0.1単位の小数に意識が向かず、小数の便利さや必然性を感じにくいため、『2つ分と半分より少し小さそう』と考えられる2.4を選びました」(佐藤先生)
 比較検討の場面では、数直線を用いた考え方に重点を置く。「計算式のみの学習では、答えを出せるようになるだけ。比例関係を表すのに適した数直線を使い、整数倍の概念を小数倍にも広げていきたい」と、佐藤先生は言う。小数倍の意味を深く理解させることで、小数や分数が入った乗除法、更に割合など、その後の学習につながっていくことも念頭に置いている。

佐藤先生の授業*指導の流れはP.12〜13
ねらい
◎ 既習の整数倍や小数の学習、数直線を活用しながら、小数倍の意味を考えていく
工夫点
◎ 「確かめてみたい」と思うように、冒頭で何倍かを予想させる
◎ 小数を用いる便利さや必然性を感じやすい「2.4」を扱う
◎ 小数倍の意味を理解するために数直線を用いる
中村先生の着目点
◎ 予想させたり、問題をノートに書かせたりすることで、課題を明確にしてから自力で解決できた
◎ 比較検討の場面で、計算式や数直線、テープ図、言葉など多様な表現を活用している。これは思考力の育成に有効
◎ 授業の最後に学習感想を書かせて授業を振り返らせることで、思考力や表現力の評価に結び付くと感じる

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