つながる学校と家庭の学び
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学校での学びを家庭へつなげる活動

 志度小学校がこのような参加型の授業参観を始めたのは、07年度のことだ。その背景には、新しい学習指導要領で強調されている言語力や表現力、思考力を伸ばすための授業づくりにおいて、同校が「学び合い」という目標を掲げたことがある。研究主任の六車(むぐるま)信二先生は、次のように説明する。
 「『学び合い』のねらいは、友だちの長所を見つけて、積極的にその長所に学ぼうという気持ちを育てることです。『友だちの意見を聞いたら自分の考えが深まった』という実感を大事にしたかったので、どの教科の授業でも子ども同士が話し合う機会を多く設けるようにしました。先生方とアイデアを出し合った結果、グループ活動を重視して子どもが互いに意見を言う場を確保することになりました。まずグループ内で話し合って意見をまとめ、次にグループ間で意見を発表し合います。そうすることで、学び合う心はクラス全体で共有されると考えたのです」
 この考えの延長として、保護者参加型の授業参観を設けたのだ。
表 授業参観のこれまでの取り組み例
 親子の学び合いには、どのような効果があるのだろうか。
 「子どもは保護者と話し合いながら授業課題に取り組むことによって、自分の表現や思考を深めていきます。グループ活動主体の授業であれば、自分の親だけでなく友だちの保護者とも一緒に課題に取り組みます。さまざまな大人の考えや価値観に触れ、子どもの学びは更に深まっていくのです。保護者の知識の奥深さを改めて知る機会にもなるでしょう」(六車先生)
 長谷川誠二校長も言葉を継ぐ。
 「保護者にとって、子どもと一緒に授業に参加することは、子ども同士のつながりや、そのつながりの中で子どもがどのように学んでいるのかを近くで見られる機会となります。保護者の知らない我が子の一面を見ることもあるでしょう」
 授業参観中、保護者に子どもの隣にいてもらうためには、工夫も要る。毎年、参加率は全校で9割以上に上るため、保護者全員が教室に入ると、普通の教室では手狭になってしまうからだ。「担任の机間指導にも影響しかねないので、スペースを確保できるよう工夫しています」と六車先生は言う。机の配置を変えたり、大型の教室で行うなど、授業内容に合わせて対応している。
 また授業内容では、保護者が力を発揮できるよう配慮している。
 「授業参観では、『お父さんやお母さんはすごいな』という子どもの気持ちも引き出したいと考えています。保護者の小さい頃の思い出を授業の素材にすることもあります。子どもにとっては、保護者の話を通して生活スタイルや時代の変化に触れる良い機会になります」(六車先生)
 教師から保護者に、「参観日の授業のテーマについて事前に親子で話し合っておいてください」と連絡帳やプリントを使ってお願いすることもある。
 「子どもと保護者の学び合いを教室内で終わらせず、家庭へ連続させようと心掛けています。そのために何をするかが、教師の工夫のしどころです。私は、授業参観の最後に、『今日の授業で気付いたことを家でまとめてごらん』と、親子で一緒に出来る宿題を出しています」(六車先生)

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