移行措置対応のポイント 第3回 子どもが主体的に考える理科の指導
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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単なる「遊び」で終わらせない
 体験活動は「遊び」のままで終わらせないことが重要だ。今回の授業では、「遊び」という言葉を使うべきか、当日まで迷ったという。
 「『さあ遊ぼう』と言えば活動は盛り上がりやすいのですが、子どもが勉強ということを忘れて、本来のねらいから外れる恐れがあるからです」(鈴木先生)
 そこで、授業の最初に「理科の時間だから、気付いたことをきちんと書いてね」と強調。最後には「空気はどんな感じだった?」など、思考や疑問を促すきっかけとなる言葉掛けをした。
 活動を通して「空気は縮む」と感じさせたかったが、袋を投げ上げる遊びから「空気は軽い」という感想を持つ子どもが多いと予想。ねらい通りの活動にならない場合に教師の意図を自然な形で伝えるため、いろいろな遊び方が描かれたカードを用意した(今回は、ねらいとする遊び方が子どもから出たため、使用していない)。
子ども同士の伝え合いを大切にする
 子どもの感じたことは、活動場所に立てかけたビッグノート(模造紙)に寄せ書きをさせた。鈴木先生の予想通り、「軽かった」「ふわふわだった」「おしたらちょっと縮んだ気がした」など、さまざまな意見が出た。友だちの考えが分かり、「こんな考え方もあるのか」と思考が広がりやすく、情報の共有もしやすい。
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ビッグノート(模造紙)には、「やわらかくてふわふわしていた」「おしたらちょっとちぢんだような気がする」など、子どもなりのさまざまな気付きが書き込まれた
  「体育館でポリ袋を使って自由に遊べば、きっと喜ぶはず」という発想が、今回の授業の原点にはある。鈴木先生は、「教師側から見た『良い授業』ではなく、あくまでも子どもの思考を出発点にした授業づくりが大切だと考えます」と話す。
 指導計画の作成や教材研究は、野崎校長や山岸先生などに相談しながら進めた。日頃から、教師が協力して授業をつくり上げることを大切にしていると山岸先生は語る。
 「理科は、授業のノウハウが積み重ねられていく教科。教師が一人で抱え込まず、相談し合って授業内容や教材を考えていけば、教師自身も理科の面白さを実感できるのではないでしょうか」

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