移行措置対応のポイント 第3回 子どもが主体的に考える理科の指導
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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授業づくりのポイント

 子どもの思考を促し、考察を深めるためのポイントを4点お伝えします。
(1)しっかり予想をさせる
  結果を予想させ、実験で何を確かめるのか、目的意識(見通し)を持たせます。これにより、実験の結果が予想と同じでも違っていても、子どもは結果から分かることを論理的に考えようとします。
(2)考える「視点」を与える
 一つは「考え方」を伝える。「こういう図やグラフで表すと分かりやすいよ」と結果の整理の仕方を示し、子どもに考える術を身に付けさせます。もう一つは、「考えるポイント」を絞る。例えば、「いろいろな植物の体の仕組みを比べてみよう。同じところはあるかな」などと促すことによって、考える視点が明確になります。
(3)考えを表現させる
 表現することは、自分の考えを整理したり、進めたりする上でも非常に有効です。予想を書けば自分の仮説が明確になり、何を観察や実験から考えれば良いのかを意識することが出来ます。初めから無理して言葉で書かせる必要はありません。身ぶり手ぶりや絵などで表現させても良いでしょう。「自分の考えを自由に表現して良い」と子どもに感じさせることが大切です。
(4)学級全員で考えさせる
 科学的なものの見方を身に付けるためには、学び合いを通して他人の考えに耳を傾けることが大切です。予想や考察では、最初に一人で考えさせた後、そこから生まれた良い考え方や表現を教師が学級全体に広げましょう。皆でアイデアを形づくる体験を通して、考え方や表現方法の幅が広がり、互いの理解も深められます。予想の段階では考え方が間違っていても構いません。それぞれの子どもなりの考えを持つことが大切です。
 「子どもが考察を深める授業は、時間が掛かるのでは」と心配かもしれません。しかし、考察の過程に慣れると、教師の発問前に「僕の予想は○○です」と発言をするなど子どもが自ら考えるようになり、授業の進行がスムーズになります。更に結論を出した後、「これで本当に良いのか」と、自ら疑問を持ち、他の方法で調べようとするなど、学びの質が格段に高まっていくでしょう。

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