移行措置対応のポイント 第3回 子どもが主体的に考える理科の指導

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教師間で共有したい三つの観点

 理科指導への意識の共有化が重要
 学校全体でこれらの三つの課題に取り組むためには、次のような観点が有効です。
校内研修や予備実験を行う
 少なくとも年1、2回は、校内で実技研修を行うと良いでしょう。まずは、危険を伴う加熱器具などの操作の研修から始めてみてください。学年ごとに予備実験をするのも効果的です。実験中に押さえるべきポイントや子どもへの注意点が明確になり、指導力の向上が望めます。
 理科支援員や特別講師といった制度を活用し、理科に強い人材を配置すれば、研修はもっと行いやすくなるでしょう。自治体の制度をよく調べ、積極的に活用してください。校外研修へ参加し、それを校内へ還元する方法も有効です。
ねらいを踏まえて指導法を共有
 育てるべき力を把握することが、何より大事です。まずは、1年間を通した指導の全体像を見渡して目標を確認します。目標達成のために各単元でどのような力を育てれば良いのか、単元のつながりを意識しながら、指導計画を立てていきましょう。おのずと問題解決の流れを踏まえた指導になり、観察・実験を飛び石のように行う授業が避けられます。6年間を見通して計画を立てるのが望ましいですが、学年ごとに行っても効果は大きいので、育てたい力を明確にして共有する視点をぜひ取り入れてください。
 更に、思考力、判断力、表現力を育てるためには、思考や表現の過程を「パターン化」して教えることが効果的です。例えば、仮説を立てる時には「私は○○だと思います。理由は○○だからです」といった型を与え、○○の個所に自分の言葉を入れさせます。最初は、教師が「何が同じで何が違うと思う?」「違う理由は何だと思う?」など、パターンに沿った思考の視点を与え、慣れてきたら自分たちで考えさせるようにします。
 こうした指導の繰り返しにより、子どもは考えたり表現したりする「技法」を身に付けていきます。問題解決の流れに沿った指導法を方法論として全学年で共有しておくことで、教師が同じ視点で子どもを見ることが出来ます。更に、あらかじめ焦点が絞られているので、授業研究などでの議論も深まるでしょう。
「考える楽しさ」の大切さを共有
 子どもが自ら考えるためには、授業に問題解決活動を取り入れる必要があります。教師がすべてを教えるのではなく、「学びの入り口」を示すにとどめることも大切です。そもそも理科では、教師が子どものすべての疑問に正解を与えるのは不可能です。肩の力を抜いて、「子どもと一緒に調べれば良い」という考え方で良いのです。この考え方を共有することで、指導法も共に検討できるようになります。
 全国的に若手教師が増えている中、学校全体の指導力を高めていくことは、今後のためにも重要です。教師一人ひとりが、「自分たちで変えていこう」という気持ちで一歩を踏み出してみてください。

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