移行措置対応のポイント 第4回 言語活動を通じてつくる国語の授業
髙橋セイ子

▲習志野市立大久保小学校校長

髙橋セイ子

Takahashi Seiko

藤本真由美

▲習志野市立大久保小学校

藤本真由美

Fujimoto Mayumi
研究主任。2学年担任

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「言葉の力」を高めるための実践

[1]学校全体で環境を整備

 教室や廊下の国語関連の掲示物を充実させ、学校全体で「国語のかおり」が漂う環境づくりに取り組む。国語への興味の入り口となることを期待し、学習の成果物の他、詩や俳句、ことわざ、季語、作家の紹介など、各学年の学習に関連した掲示物を教師が作る。
 日常的に国語に親しみ、基礎的な言葉の力を付けていく試みとして、全学年が週2回、朝の帯時間「ステップタイム」で古典や名文、詩歌の音読・視写、スピーチなどを行う。「日本語のリズムや響き、美しさなどを体感的に理解させて、言葉の力の土台を育てるのがねらいです」(藤本先生)

写真:掲示物(著名な詩や俳句)
*子どもに知っておいて欲しい著名な詩や俳句を書き、廊下に貼り出す
写真:掲示物(季語)
*子どもが俳句を詠む時に参考になるよう、季語となる言葉を示した

[2] 学習材とその提示の工夫

 子どもの意欲を引き出すことに重点を置いて、言語活動での学習材の設定や提示を行う。例えば、単元の最初に学習目標となる発表会の見本を示し、子どもが学習計画を考え、見通しを持って学べるようにしている。見本作りは、教師の教材研究にも有効だ。「見本を作ることで、子どもが興味を持ちそうな点、つまずきそうな点などが分かります。それらを踏まえ、子どもの実態に合った言語活動をつくっています」(藤本先生)

[3] 協同的な学び合いの場の設定

 共に学び合う「学び方」を身に付けることをねらいとし、ペアでの対話学習、グループ学習、クラス全体での意見交換の場を設ける。重視するのは、相手の考えに耳を傾けて共感する態度を育むこと。特にペア学習は、グループ学習よりもどの子どもも必ず話す機会が持てるので、全校で学び合いの基礎として取り入れている。

[2]学習材とその提示の工夫[3]協同的な学び合いの場の設定の具体的な取り組みは、次のページで紹介する「単元の流れ」でご覧ください

矢印
成 果

子どものコミュニケーションの質が変化

 3年間の研究を通して、当初、課題だと感じていた実生活でのコミュニケーションに、変化が見られた。「相手の話を共感的に聞くことが出来るようになり、『自分が相手に受け入れられている』という気持ちも生まれて、コミュニケーションや人間関係が円滑になったと感じます。また、言語活動に意欲的に取り組むことで、言葉の力も高まってきたと感じています」(藤本先生)
 次年度以降も研究は続けていく予定だ。「国語を通して身に付いた『学び合い』を他教科に広げていくことも重視したいと考えています」(髙橋校長)


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