小学校英語活動 Vol.5 小学校英語活動シンポジウム〜J−SHINE小学校英語活動フォーラム in 松江より〜小学校英語をどのように進めるべきか
伯井美徳

▲横浜市教育長/元文部科学省初等中等教育局企画官

伯井 美徳
松香洋子

▲玉川大学大学院講師/J−SHINE認定委員

松香 洋子
田尻悟郎

▲島根県東出雲町立東出雲中学校教諭

田尻 悟郎
片岡 晃

▲(株)ベネッセコーポレーション執行役員常務/J−SHINE理事

片岡 晃
吉田博彦

▲中教審外国語専門部会委員/J−SHINE専務理事

吉田 博彦
WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート 〜小学校英語活動〜
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小学校英語活動 Vol.5
小学校英語活動シンポジウム
〜J−SHINE小学校英語活動フォーラム in 松江より〜

小学校英語をどのように進めるべきか

現在、全国の小学校の92.1%でなんらかの英語活動が実施されており、中央教育審議会外国語専門部会でも、小学校英語を必修にするかどうかの議論が進んでいる。しかし、必修化までの道のりには、人材確保をはじめとして、さまざまな課題が山積している。 NPO法人小学校英語指導者認定協議会(略称:J−SHINE・注)では、03年12月の東京会場を皮切りに、「小学校英語をどのように進めていけばよいか」を議論する場を全国各地に設けてきている。05年11月26日、松江市のくにびきメッセで開かれた「小学校英語活動フォーラム」(J−SHINEと山陰中央新報の共催)には、島根県の小学校の先生方を中心に約170人が参加。時間いっぱいに白熱した議論が繰り広げられた。今回はその議論のなかから、指導者育成の問題を中心にして紹介したい。



パネリスト(敬称略)

伯井 美徳 (横浜市教育長/元文部科学省初等中等教育局企画官)
松香 洋子

(玉川大学大学院講師/J−SHINE認定委員)

田尻 悟郎 (島根県東出雲町立東出雲中学校教諭)
片岡 晃 ((株)ベネッセコーポレーション執行役員常務/J−SHINE理事)

司会

吉田 博彦 (中教審外国語専門部会委員/J−SHINE専務理事)
注: NPO法人小学校英語指導者認定協議会(略称:J−SHINE)とは
小学生に英語を指導する技能を持つ地域の人材や民間の指導者を育成・認定し、教育現場に供給していこうとしている民間機関(NPO)。2003年に発足。代表・大河原愛子氏。05年12月現在、約4,000人が指導者資格を取得し、全国の学校現場で指導している。
URL http://www.j-shine.org/index.html

学校全体で組織的な英語活動をしている小学校は2%

司会 現在、全国の小学校の9割以上で英語に関するなんらかの活動が行われています。まず、この現状についての問題意識をうかがいたいと思います。


片岡 
文部科学省の05年2月調査では、小学校で週1回程度の英語活動を実施している学校が約10%あるということです。私は視点を変えて、自治体ごとの英語活動の実施状況をみてみました。

  まず、小学校英語の実施段階を(1)〜(4)に分けてみました。

 

(1)
たまたま英語に熱心な先生がいる、ALTが配属されたなどの理由で、個別の学級が導入している段階
(2)
校長の方針、研究開発校に指定されたなどの理由で、学校全体で取り組んでいる段階
(3)
隣接している小中学校などが、小中連携で実施している段階
(4)
一貫したプログラムのもと、自治体ぐるみで実施している段階


  平成の大合併前の05年4月時点での自治体数が約2300でしたが、(4)の段階まで進んでいると思われる自治体が20前後ありました。(3)の段階で30弱、(2)の段階で20弱となり、(2)(3)(4)合わせると、2300自治体中60強の自治体で、2〜3%になりました。残りは(1)段階、つまり、先生や地域の個人的な頑張りに委ねられているというのが実情です。数字だけで見ると、「教科」化の検討どころか、まだきちんとした英語を指導する段階になっていないのではないかというのが私の実感です。これを広げるにはどうしたらよいのかというのが現実的な課題です。

 社会学では、世の中に何か新しい現象が起きたとき20%を超えた時点で燎原の火のように勢いがつくと言われることがあります。ですから、文部科学省がどのように決めようと、20%くらいの自治体が小学校英語を始めると、黙っていても全国に広がるような気がします。高校入試への影響などを考えて、実施していない自治体では住民が黙っていないということもあると思いますから。


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