小学校英語活動 Vol.7 第2回全国小学校英語活動実践研究大会(京都市)から 公開授業 京都市立西陣中央小学校


京都市データ

 京都市は人口約150万人の政令指定都市で、183の市立小学校と81の市立中学校を抱える。他市に先駆けて2000年度から少人数教育を推進し、04年度には小学校2年生まで35人学級を実現したり、小学校での教科担任制の推進、教員版FA制度の実施など、独自の教育改革を推進中。小学校英語活動に関しては、京都市総合教育センターを中心に1994年から研究を開始し、99年度から導入。「京(みやこ)英語スタンダード」を作成するともに、おおむね2つの中学校区に1人のALTを配置し、校区内すべての小学校への巡回指導も行うなど、小中連携の英語教育の充実にも努めている。

京都市教育委員会

住所 〒604-8571 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488
電話 075-222-3815
FAX 075-213-5229
URL http://www.edu.city
.kyoto.jp/kyoikukeikaku/

教育長 門川大作氏



京都市立西陣中央小学校データ

 西陣中央小学校は1997年4月、成逸、西陣、桃園、聚楽の4つの小学校が統合して開校した。母胎となった4つの小学校は、いずれも明治2年「町衆」の力によって誕生した小学校で、保護者たちは教育熱心で学校に協力を惜しまない気風を持っていたが、それが今に引き継がれている。西陣織の産地に位置することから、生活科や「総合的な学習の時間」などを中心に、伝統産業や文化を学ぶ活動が盛んに行われている。英語活動に取り組んだのは、2000年度から。02年度からは、「英語活動部」を設けて、学校をあげて取り組んでいる。

住所 〒602-8441 京都市上京区大宮通今出川上る観世町135−1
電話 075-432-5522
FAX 075-432-5523
URL http://www.edu.city
.kyoto.jp/hp/nishijinchuo-s/

校長 野田卓郎先生
児童数 556人(05年6月1日現在)
学級数 19(育成学級1含む)

WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート 〜小学校英語活動〜
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小学校英語活動 Vol.7
第2回全国小学校英語活動実践研究大会(京都市)から

公開授業
京都市立西陣中央小学校

担任の先生一人で進める英語活動
 〜ビデオづくりを通して

全国で9割を超える小学校が、なんらかの英語活動を実施しているが、指導者の育成、カリキュラム開発、教具・教材開発・蓄積など、課題は山積し、多くの学校では、先生方が悩みつつ、手探りしながら進めているのが現実である。
10年以上前から小学校英語の研究に取り組んできた京都市では、2002年に教師による自主的な研究会「京都市小学校英語活動研究会」が組織された。同会が全国の英語活動に取り組んでいる先生方に呼びかけて第1回全国小学校英語活動実践研究大会を開催したのは、04年12月。40都道府県から約650人もの参加者があり、悩みや課題、成果を共有し合ったという。
それを受けての「第2回全国小学校英語活動実践研究大会」は06年1月20、21日に開催されたが、第1回を上回る900人以上が全国から集まり、熱い議論が交わされた(写真1)。
ここでは、授業公開校の実践例を紹介する。

▼ 写真1
写真1
2日目の全体会の様子。午前中は文部科学省教育課程課教科調査官の菅正隆氏の講演に、全国から駆けつけた先生方が熱心に聴き入った。
●京都市立西陣中央小学校の英語活動のPOINT
(1) 「総合的な学習の時間」の中で、3年生以上が年間20時間。そのうちの12時間はALTと担任のTT、8時間は学級担任単独で指導。
(2) 京都市の指導計画と活動事例集(試案)を参考に、学年ごとに年間指導計画を作成。それをもとに、1時間ごとの活動プランを各学年で毎週打ち合わせをしながらつくる。
(3) 「英語活動部」を設ける。英語活動部担当者を中心に、ALTとの授業の打ち合わせと振り返り、準備に充てる時間確保を行い、担任にフィードバックする。担任の声は、「振り返りカード」を通じてALTに届ける。
(4) 教員研修として、校内放送で流す英語番組の制作、クラスルームイングリッシュの練習などを行う。
(5) 「担任が進める英語活動」のプランづくりを進行中。

 公開授業は、担任とALTのTTによる5年生の活動と、担任の先生一人で進める6年生の活動の2つであった。参観したのは後者。「トーキングタイムビデオを作ろう!」という単元の全5時間中4時間目にあたる。

「トーキングタイム」とは、西陣中央小学校の給食時間に、校内放送で流している英語番組のことだ。先生方が英語を使って簡単な会話を楽しんでいるVTRを見せることで、子どもたちの英語を用いたコミュニケーションへの動機付けになればと、教員研修の一環として、いくつかのバージョンを制作してきた。そして、「これは、高学年ならできるよね」というある先生のひと言が、担任の矢野智子先生の心を動かし、「トーキングタイム・6年1組バージョン」を作ろうと決心させたという。ちょうど卒業目前の時期にも当たるので、子どもたちにはこのビデオを在校生へプレゼントするという目的意識を持たせた。


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