小学校英語活動 Vol.8「英語が使える日本人」育成のためのフォーラム2006(in 横浜)より
WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート 〜小学校英語活動〜
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実践事例1 大阪府寝屋川市

小学校に「国際コミュニケーション科」を新設。
小中一貫の英語教育に取り組む

市がめざす子ども像を明確にし、「国際コミュニケーション科」を新設

 寝屋川市は人口約24万人で、小学校24、中学校12を抱える大都市近郊の自治体である。近年、不登校児童・生徒の激増、学力の二極化などの問題を抱えており、その課題を克服するために03年度から小中連携などの改革に取り組んでいる。
  市がめざす「5つの子ども像」を、(1)確かな学力(基礎・基本の力)(2)学ぶ意欲(生涯学習を可能にする態度)(3)「コミュニケーション力」と「情報活用力」を備えた子ども(4)豊かな心(人権感覚)(5)体力・元気(健全な精神と身体)と明確にし、(3)にかかわって、小学校英語活動と、ITC教育(地域公共ネットワーク整備)を行ってきている。
  とりわけ、「コミュニケーション力」に関しては、文部科学省研究開発校の指定を受けた三井(みい)小学校を中心に、同じ第十中学校区の宇谷小学校、第十中学校とともに、小中連携を軸に研究を続けてきた。その研究を踏まえて、05年度からは「小中学校英語教育特区」(構造改革特区)の認可を受け、全市の小学校で新教科「国際コミュニケーション科」(05年度までは5、6年生)を実施している。

指導者養成に毎年小学校教員を海外派遣

 新設した「国際コミュニケーション科」を進める上での一番のネックは、指導者の育成である。市教委としては、まずは1年間に24人のリーダー教員を育て、5年間で120人を育てようという計画を立てている(初年度は各校に配置されている1人の担当教員を実地で教えながらリーダーとして育てている)。
  指導者育成のためにさまざまな研修が実施されているが、05年度は57回実施して1972人の参加があり、小学校英語スタート時(02年度)の4倍になった。
  夏休みには、毎年12人の教師を姉妹都市カナダのオークヴィル市のシェリダン・カレッジに派遣して20日間の研修を受けさせている。英語によって英語を教える指導法を研修するとともに、外国生活、異文化体験をすることによって、グローバルな視野を備えたリーダー教員の養成を図っている。

英検受検者が2年で3倍に

 「中学3年生で、70%の生徒に英検3級を取得させる」ことを目指す寝屋川市では市長・教育長が、こうした数値目標を市民に公表している。そのために、05年度からは英検を受検する中学生に1000円の受検料の補助を始めた。その結果、03年度454人だった受検者が05年度は1399人にまで増えた。ここまで自治体が取り組む理由の一つは、この地域では、自治体で保障しなければ、おそらく英語やIT教育を家庭で受けられない子どもたちが少なくないから。
  06年度からは小学校1〜4年生の「国際コミュニケーション科」がスタート。9年間の英語教育態勢が整う。国際コミュニケーション科の特性を活かしたカリキュラム開発も急いで進めている。これからの課題は中学校英語改革。小学校英語の成果を生かすためにも、緊急の課題と認識している。


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