ベネッセ教育総合研究所が選ぶ「調査データ クリップ!子どもと教育」

携帯電話の利用実態

携帯電話の利用実態 〜第1回〜

第1回

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  1. 所有率は中学生5割、高校生9割
  2. 毎月の利用額は小学生3,200円、中学生5,300円
  3. 利用するきっかけは生活の変化や友人の影響
  4. 利用目的、小学生は家族への電話、中学生は友人へのメール
  5.         
  6. 友人とのメール、中学生の4割弱が「1日21回以上」

第2回

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保護者が感じる最大のメリットは「子どもといつでも連絡がとれる」 中学生の生活に変化をもたらす「ケータイ依存」 親子のルール、小学生は使い方の制限、中高生は金額制限 など


第3回

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中学生で6割を超えた携帯電話所有率、子ども専用テレビは減少 「知らない人から」のメール、中・高生の3割が受信経験あり 認知度・使用率ともに低いフィルタリング・サービス


第4回

友だちへのメール、中高生の約3割が1日21回以上 目の前で友だちが携帯利用、「いや」なのは少数派

【1-1】所有率は中学生5割、高校生9割

携帯電話所有率(学年別)携帯電話所有率(学校段階別、地域別)

出典
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」Benesse 教育研究開発センター(2005)
調査対象
小学4年生〜高校2年生

この十数年間で急激に普及した携帯電話。2006年の世帯あたり普及率は89.6%に達した(総務省「通信利用動向調査報告書」より)。

こうしたなか、子どもの携帯電話の所有率は、学年が上がるにつれて増えている。小学生の段階では2割前後と少ないが、中学生では約半数が所有し、高校生になると9割以上にのぼる。

地域によって違いがみられたのは小・中学生だ。中都市・郡部に比べて、大都市での携帯所有率が高い。例えば、小学生の所有率は中都市で14.1%、郡部では12.6%にとどまっているが、大都市では29.4%になっている。中学生も同様で、中都市で40.3%、郡部で33.2%なのに対して、大都市では63.0%が所有している。

【1-2】毎月の利用額は小学生3,200円、中学生5,300円

携帯電話・PHSの使用料(1か月使用料金)

出典
「子どもとメディアに関する意識調査 調査結果報告書」(社)日本PTA 全国協議会(2006)
調査対象
小学5年生、中学2年生、PTA会員(保護者)
※保護者回答。携帯電話・PHSを「子どもは持っていない」と回答した人を除く。

携帯電話・PHS の1か月あたり使用料金は、小学生の平均が3,200円で、「3千円台」が回答者全体の3分の1(32.2%)を占めている。これに「2千円台以下」も合わせると、全体の3分の2が「4千円未満」となっている。

中学生の平均は5,300円で、「5千円台」が回答者全体の4分の1(24.7%)となっている。次いで「4千円台」、「3千円台」が多い。また、少数とはいえ「1万円以上」の小学生が50人に1人(1.8%)、中学生で25人に1人(3.8%)いる点は注目される。利用状況に応じて、上限金額を設定できる料金プランを検討するのも一案だろう。

【1-3】利用するきっかけは生活の変化や友人の影響

利用契機(学年別)

出典
「平成17年度子ども向けモバイル利用調査」モバイル社会研究所(2006)
※「モバイル社会白書2006」より
調査対象
小学5年生〜高校3年生

携帯電話を利用するようになったきっかけは、学校段階によって異なっている。小学校高学年は「塾や習い事に通うようになったこと」がもっとも多く5、6割を占めている(小5生59.5%、小6生48.9%)。次に多いのは「保護者や家族に勧められたこと」だ(小5生19.0%、小6生19.1%)。

中学生になると、「友だちが使い始めたこと」「自分の周りに、携帯電話やPHSを使っている友だちが増えたこと」が主なきっかけとなっており、合わせて4、5割を占めている。子ども自身の欲求や必要性が、周囲の影響を受けて高まっている様子がうかがえる。

高校生は「進学・進級したこと」がもっとも多く(高1生47.5%、高2生36.2%、高3生27.5%)、「自分の周りに、携帯電話やPHSを使っている友だちが増えたこと」(高1生16.9%、高2生26.7%、高3生28.3%)が続く。

【1-4】利用目的、小学生は家族への電話、中学生は友人へのメール

携帯電話の利用目的(学習段階別、性別)

出典
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」Benesse 教育研究開発センター(2005)
調査対象
小学4年生〜高校2年生
※携帯電話を「持っている」と回答し、1日のうち携帯電話をどのくらい使うかという質問に「1〜2回くらい」「3〜5回くらい」「6〜10回くらい」「11〜20回くらい」「21回以上」と回答した人の合計。

携帯電話の利用目的は、学校段階と性別によって特徴がみられる。

小学生の場合は、家族とのやりとりが携帯電話の主な利用目的となっているようだ。男子55.6%、女子68.5%、平均62.9%が1日1回以上家族に電話をかけ、男子31.3%、女子50.8%、平均42.2%が家族にメールを送っている。

これが中学生になると変化して、友だちにメールを送る割合がもっとも高く(男子83.0%、女子91.7%、平均87.9%)なる。 携帯電話を使ったメールは友人関係を作り、維持していくための重要なツールになっている様子がうかがえる。

男女別にみると、女子の方が文字(メール)を使ったコミュニケーションに積極的だ。とくに小学生の女子は、友だちや 家族にメールを1日1回以上送る割合がいずれも5割を超えている。一方、小学生の男子は「友だちに送るメール」が2割(20.1%)、「家族に送るメール」が3割(31.3%)となっており、男女差が大きい。

【1-5】友人とのメール、中学生の4割弱が「1日21回以上」

使用頻度(学校段階別)

出典
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」Benesse 教育研究開発センター(2005)
調査対象
小学4年生〜高校2年生 ※携帯電話を「持っている」と回答した人

1日のうちで携帯電話をどのくらい使うのかを、やりとりする相手と使用する機能(電話/メール)別にみたのが上の図だ。「家族にかける電話」と「家族に送るメール」、「友だちにかける電話」の頻度は、多くても1日2回程度という回答が多い。例えば、小学生の67.2%、中学生の87.5%、高校生の95.8%が「家族にかける電話」を「ほとんど使わない」または「1〜2回くらい」と答えている。学校段階が上がるにつれて使用頻度が下がっているのも特徴だ。

「友だちに送るメール」は、小学生の場合「ほとんど使わない」が52.1%と過半数を占めるものの、中学生では「21回以上」使う割合が全体の37%にのぼる。1日2回以下は16.4%と少数派だ。高校生も中学生ほどではないが高い。友人とのコミュニケーション手段としての「ケータイ」は、とくに中学・高校生の場合、文字に依存している部分が大きいようだ。

参考資料
「通信利用動向調査」総務省
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」ベネッセ教育研究開発センター
「子どもとメディアに関する意識調査 調査結果報告書」(社)日本PTA全国協議会
「モバイル社会白書2006」モバイル社会研究所