ベネッセ教育総合研究所が選ぶ「調査データ クリップ!子どもと教育」

塾・習い事

塾・習い事 〜第1回〜

第1回

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  1. 中学生の通塾率、中3では約6割
  2. 週3日以上通塾、中3生は30%超、高校生は5%
  3. 塾は「わかりやすい/力(応用力)のつく授業」が魅力?
  4. 学習塾は49,000校、小・中・高校の合計より多い

第2回

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小学生の習い事の1位、男子「スポーツ」、女子「音楽」 幼児の習いごと、「スイミング」と「通信教育」が人気 アジアの人気習いごと、韓国「学習誌」、中国「絵画教室」 など


第3回

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小学校低学年で通塾率が上昇 通塾率に地域(人口規模)による違い 習わせてよかったのは「スポーツ系」の習い事 など


第4回

スポーツ活動はスイミング、芸術活動は楽器が人気

【1-1】中学生の通塾率、中3では約6割

学校以外での学習(学年別・複数回答)

出典
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」Benesse 教育研究開発センター(2005)
調査対象
小学4年生〜高校2年生

学校以外での学習活動は、小学校、中学校、高等学校と学校段階によって大きな変化がみられる。小学生では、「学習塾や予備校」がやや多いものの「通信教育」「英会話などの語学教室」「計算や書きとりなどのプリント教材教室」などの利用がいずれも1〜2割となっている。中学生になると、「学習塾や予備校」の利用が急増(中1生36.0%、中2生44.9%、中3生59.4%)し、中学生の約半数が通塾していることがわかる。高校生では、すべての校外学習の利用が減少。とくに「学習塾や予備校」の利用者が高1生16.5%、高2生19.7%と激減する。

小学校高学年から中学校にかけて「学習塾や予備校」の利用者が増え続けるのは、受験への意識が高くなっていくためと思われる。この時期、「英会話学校などの語学教室」「計算や書きとりなどのプリント教材教室」から、より受験に直結した「学習塾や予備校」へとシフトしていくものとみられる。
 一方、高校で「学習塾や予備校」の利用者が大きく減少するのは、地方の進学校を中心に学校での受験指導が熱心に行われていることも1つの要因と考えられる。

【1-2】週3日以上通塾、中3生は30%超、高校生は5%

通塾・予備校の頻度(学年別)

出典
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」Benesse 教育研究開発センター(2005)
調査対象
小学4年生〜高校2年生

学習塾や予備校に通う児童・生徒が、その学習塾(予備校)に週に何日行っているのかをみると、小4生から中2生までは「週1日」「週2日」が合わせて5〜7割ともっとも多い。中3生になると、「週3日」の割合が増え(34.7%)、「週3日以上」通塾する生徒が54.7%にものぼる。高校生では「週1日」「週2日」の割合が再び7割(高1生72.8%、高2生67.2%)に増加する。

学習塾や予備校に行っていない児童・生徒も含めた全回答者に対する「週3日以上」の割合をみると、およそ3分の1(32.5%)の中3生は週3日以上通塾していることがわかる。一方、高校生の「週3日以上」の割合は高1生4.4%、高2生6.3%と低い値となっている。

中3生で通塾率(【1-1】参照)・通塾日数ともに増えているのは、ほぼ全員が高校受験に備えているからと思われる。小5生、小6生では通塾率の増加がそれほど大きくないが、全回答者に対する「週3日以上」の割合がそれぞれ、10.7%、11.5%と小4生に対して増加している。中学受験に備えた一部の子どもの通塾日数が増えているためと考えられる。

【1-3】塾は「わかりやすい/力(応用力)のつく授業」が魅力?

学校と塾の比較

出典
「2003年度 学習実態に関する調査結果」(社)全国学習塾協会(2003)
調査対象
学習塾に通う小学生・中学生

学習塾に通う小学生・中学生に、学校と塾を比べてあてはまると思うものを答えてもらった結果をみると、「わかりやすい授業をしてくれる」のは、小学生では15%が学校、68%が塾、中学生では17%が学校、56%が塾と答えている。「力(応用力)のつく授業をしてくれる」のも、小学生[学校5%、塾87%]、中学生[学校6%、塾81%]と、いずれも塾の値が高い。
 これに対して「先生がよく声をかけてくれる」では小学生[学校39%、塾40%]、中学生[学校32%、塾37%]、「先生のクラスをまとめるうまさ」では小学生[学校31%、塾43%]、中学生[学校36%、塾27%]と、学校と塾の値に大きな差はない。

学習内容に関する項目で塾の値が大きいのは、回答者が通塾者であり、塾での勉強に期待を持っている子どもが多いためと考えられる。調査対象外に、学校の勉強に満足しているため、塾に通っていない子どもや、塾に通ったが、合わないのでやめてしまった子どもなどがいることも考慮すべきだろう。

興味深いのは「ノートの取り方を教えてくれる」が、小学生では圧倒的に塾(学校20%、塾58%)であるのに対し、中学生では学校38%、塾20%と逆転していることである。年齢の違い、学級担任制・教科担任制の違いもあり、一般に小学校よりも中学校のほうがノートの取り方を詳しく指導することが多いのだろうか。一方、小・中学生をともに教える塾では、先取りして指導しているケースが多いのではないかと推測される。

【1-4】学習塾は49,000校、小・中・高校の合計より多い

塾の事業所数・従業員数(学校との比較)塾の規模別事業所数の割合

出典
「平成16年サービス業基本調査」総務省(2004)
「平成18年度学校基本調査」文部科学省(2006)
調査対象
全国

学習塾の事業所数は約49,000校と、小学校・中学校・高等学校の合計約39,000校よりもはるかに多い。一方、学習塾の従業員数は28.0万人と、中学校の教員数よりもやや多く、小学校・中学校・高等学校を合わせた教員数91.4万人の約3割となっている。

塾の規模別事業所数の割合をみると、「1〜4人」が61.1%、「5〜9人」が21.8%と10人以下の事業所が全体の8割を超えており、個人経営の塾など、小規模な塾が大半を占めていることがわかる。

子どもの教育を考える上で、事業所数からみても、塾は無視できない存在になっている。一方、規模の面からみると、経営基盤が必ずしも安定していない塾があることも推測できる。

参考資料
「第1回子ども生活実態基本調査報告書」Benesse 教育研究開発センター
「2003年度 学習実態に関する調査結果」(社)全国学習塾協会
「平成16年サービス業基本調査」総務省
「平成18年度学校基本調査」文部科学省