ベネッセ教育総合研究所が選ぶ「調査データ クリップ!子どもと教育」

子どもと安全

子どもと安全〜第1回〜

第1回

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  1. 子育ての気がかり、1位は「犯罪や事故に巻き込まれること」
  2. 交通事故での違反、自転車は「安全不確認」、歩行者は「飛び出し」
  3. 水難事故、夏の3か月に集中
  4. 被害場所、未就学は住宅、小中学生は駐車(輪)場

第2回

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9割以上の学校で防犯マニュアルを活用出会い系サイトに関連した犯罪被害者の8割が18歳未満薬物事犯の少年、この10年で減少傾向など


第3回

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子どもの犯罪被害の不安は、マスコミ報道から 校舎の耐震化率、都道府県により大きな違い10年間で子どもの水死者数は半分に

【1-1】子育ての気がかり、1位は「犯罪や事故に巻き込まれること」

子育ての一番の悩みや気がかり

出典
「第2回子育て生活基本調査報告書・幼児版」Benesse 教育研究開発センター(2004)
調査対象
首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、地方都市(四国地方の県庁所在地)、郡部(東北地方)の幼稚園児・保育園児の子どもをもつ保護者4,471人 ※分析は首都圏の3,477名

幼稚園児・保育園児の子どもをもつ保護者にとって、子育ての一番の悩みや気がかりは、子どもが「犯罪や事故に巻き込まれること」といった結果がでた。子育ての悩みや気がかりの設問としてあげられた45項目のなかから「現在もっとも気にかかっていること」を1つだけ選んでもらった結果、他の項目を引き離して17.3%の保護者が1位にあげている。複数回答してもらった結果をみても7割以上(75.6%)の保護者が気がかりな項目としており、第1位にあげられている。子どもが巻き込まれる事件が多発する近年の世相を反映しているといえよう。

上位10項目の中には、「ほめ方・しかり方」(6.3%)、「しつけのしかた」(5.8%)、「子どもの食事のとり方」(4.3%)、「おねしょ、トイレのしつけ」(2.3%)など、しつけに関する項目が多くみられた。
 「子どもの性格、現在の態度や様子」(6.1%)や「アレルギー」(3.4%)など、子ども自身に関する不安があげられる一方で、「友だちとのかかわり」(5.4%)や「人間関係」(4.0%)など、親子ともに人間関係を一番の気がかりに感じている人も少なくない。

【1-2】交通事故での違反、自転車は「安全不確認」、歩行者は「飛び出し」

子ども(15歳以下)の交通法違反による死傷者

出典
「平成18年中の交通事故の発生状況」警察庁(2007)
調査対象
全国

15歳以下の子どもの自転車乗用中の死傷者数を法令違反の有無でみると、「交通法違反のある者」が約4分の3(74.5%)を占め、他の年齢層(16〜24歳67.1%、25〜64歳63.6%、65歳以上67.5%)に比べて高くなっている。
 法令違反別にみると、「安全運転義務違反(前方不注意、動静不注視、安全不確認など)」が42.3%ともっとも多く、なかでも「安全不確認」が31.5%と高い割合を占めている。次いで多いのが「一時不停止」(10.7%)で、他の年齢層(16〜24歳6.9%、25〜64歳3.6%、65歳以上4.8%)に比べ、15歳以下の子どもではとくに多くなっている。

歩行中の死傷者数を法令違反の有無でみると、「違反のある者」が約3分の2(66.8%)を占め、他の年齢層(16〜24歳36.1%、25〜64歳31.9%、65歳以上35.3%)に比べ、高くなっている。なかでも「飛び出し」が34.1%と他の年齢層(16〜24歳5.4%、25〜64歳2.5%、65歳以上1.8%)に比べて圧倒的に高い割合を占めている。
 また、「横断違反」も19.0%と多く、とくに「駐車車両の直前後」(5.0%)や「走行車両の直前後」(5.9%)の割合が高い。

【1-3】水難事故、夏の3か月に集中

子ども(中学生以下)の水難事故

出典
「平成18年中における水難の概況」警察庁(2007)
調査対象
全国

平成18年中の中学生以下の子どもの水難事故による水死者は77人にのぼる。これを発生場所別にみると、「河川」36.4%、「海」27.3%、「湖沼地」19.5%の順となっている。河川や湖沼地、用水路など身近な場所で水死者がでている。
 水死者を行為別にみると、「水遊び」32.5%、「水泳中」23.4%、「魚とり・釣り」15.6%など、水辺での活動中が大半を占めているが、「陸上における遊技スポーツ中」(7.8%)や「通行中」(3.9%)の事故も発生していることがわかる。

また、同調査で夏季(6月〜8月)における水難発生状況をまとめた結果をみると、この時期の発生件数は184件で、年間発生件数(264件)の69.7%が夏季に集中して発生していることがわかる。同様に水死者の67.5%が夏季に集中している(年間77人、夏季52人)。

【1-4】被害場所、未就学は住宅、小中学生は駐車(輪)場

就学別・場所別被害発生件数と罪種別被害件数

出典
「平成18年の犯罪情勢」警察庁(2007)
調査対象
全国

平成18年における子どもの犯罪被害件数を就学別にみると、未就学532件、小学生23,935件、中学生64,699件と年齢が上がるにつれて大きく増加している。これらを発生場所別にみると、未就学児では「住宅」での被害が圧倒的に多いが、小中学生になると「駐車(輪)場」「道路上」での被害がかなりの割合を占めるようになる。未就学児は単独で行動することが少なく行動範囲も限られているが、年齢が上がるにつれて行動範囲が広がり被害に遭う危険性も飛躍的に高まっているといえよう。

一方、罪種別の被害状況をみると、小中学生では「窃盗」被害が圧倒的に多く(小学生20,859件、中学生55,424件)、発生場所で「駐車(輪)場」の割合が多いこととの関連性がうかがえる。一方、「強制わいせつ」(未就学112件、小学生810件、中学生651件)、「殺人」(未就学75件、小学生34件、中学生11件)、「略取・誘拐」(未就学27件、小学生55件、中学生23件)などの重要犯罪の被害者になっている子どもが多いことにも注目すべきだろう。

参考資料
「第2回子育て生活基本調査報告書・幼児版」Benesse 教育研究開発センター
「平成18年中の交通事故の発生状況」警察庁(2007)
「平成18年中における水難の概況」警察庁(2007)
「平成18年の犯罪情勢」警察庁(2007)