![]() |
運動・体力 〜第1回〜
|
基礎的運動能力を20年前の調査結果と比較してみると、50m走では、女子はいずれの年齢段階においても低下していることがわかる。男子は13歳、16歳では20年前とほぼ同等であるが、若年では大きく低下している。
投能力(ソフトボール投げ・ハンドボール投げ)においても、男女ともほとんどの年齢において低下傾向にある。
そのほか、跳能力(立ち幅とび)、握力、持久的な走能力(持久走)等の基礎的運動能力についてみても、いずれの年齢段階においても低下傾向にある。親世代に比べてかなり体格がよくなっている(『健康』第1回【1-1】【1-2】参照)にもかかわらず運動能力が低下傾向にあるのは、子どもたちの生活習慣の変化などが影響しているものと思われる。
「学校の体育の時間以外に運動をしたり体を積極的に動かしたりしているか」との問いに対して、「はい」との回答が小中学生では男子約8割、女子は約7割にのぼる。しかし、高校生になると男子が7割弱(66.5%)、女子では約4割(41.5%)と大きく低下しており、高校生の女子の約6割が、体育の時間以外ではほとんど運動していないことになる。
体育の時間以外でどのように運動しているかをみると、小学生は男女とも「友達としている」がもっとも多く(男子4〜5割、女子3〜4割)、「地域のスポーツクラブでしている」(男子3割強、女子約2割)がこれに次いでいる。小学生のうちは、学校の休み時間や放課後の外遊びが運動のなかで大きな割合を占めているものと思われる。
一方、中学生では「学校のクラブ活動でしている」が圧倒的に多く(男子78.8%、女子63.1%)、中学生の約7割が運動部に所属しているという調査結果(『運動・体力』第2回【2-1】参照)と一致する。
高校生になるとクラブ活動の割合は低下(男子45.8%、女子30.8%)するものの、部活動での運動が中高生の運動の中心になっていることに変わりはない。
「子どもの遊び実態調査」によると、放課後や休みの日によく遊ぶ場所は、自分の家の中(70.0%)や友達の家(65.5%)が圧倒的に多く、外遊びの場所として一番多かった公園の33.5%を大きく引き離した。
外遊びをする子どもが減少するなか、校庭や公園で遊ぶ子どもたちを実際に観測した結果が上のグラフである。チームで遊ぶ「球技遊び」をする子どもの数が45.1%ともっとも多く、次いで「固定遊具遊び」が28.2%となっている。「おにごっこ」や「かくれんぼ」などの「集団遊び」はわずか4.6%に過ぎない。
遊びの集団規模は「2人」がもっとも多く26.5%、次いで「1人」20.7%、「3人」15.5%の順となっている。集団の年齢構成では同年齢で遊ぶ場合が多く、「異年齢の集団」はわずか8.1%であった。
中高生に運動や体力についてたずねた結果をみると、中2生、高2生の男女ともに「体力に自信がない」が「体力に自信がある」を大きく上回った。とくに高2女子では、「自信がある」が9.2%なのに対して、「自信がない」は34.4%にものぼる。「だるい」「朝、なかなか起きられない」など、心や身体の疲れを感じている子どもが多いこと(『健康』第1回【1-4】参照)とも関連していると思われる。
また、「自分の健康について心配に思ったこと」が「何度もある」「少しある」と答えた生徒も「あまりない」「ない」を大きく上回っており、もっとも差の小さかった中2男子でも「何度もある」「少しある」が合わせて54.5%、「あまりない」「ない」が合わせて45.2%となっている。もっとも差の大きかった高2女子では心配に思ったことが「ない」または「あまりない」生徒は合わせて33.5%なのに対し、「何度もある」または「少しある」生徒は66.3%にものぼる。
さらに、「もっとスポーツや運動をしなければならないと思ったこと」が「何度もある」「少しある」と回答した生徒(高2女子78.8%、中2女子73.7%)は、「あまりない」「ない」と回答した生徒(高2女子20.9%、中2女子26.0%)を大きく上回っており、とくに女子ではその差が大きい。
中高生全体に、自分の体力に自信がもてず健康を心配している傾向がみられる。