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食生活 〜第1回〜
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小中高生の食生活の様子に関する調査結果をみると、食事の時間を楽しいと思わない児童生徒の割合が、男女ともに小学生から中学生にかけて増加し、中学生から高校生にかけて減少していることがわかる。とくに中学生から高校生にかけては、男子は30.7%から23.8%、女子は23.7%から14.0%と大きく減少しているのが特徴的だ。高校生は小学生に比べても、食事の時間を楽しいと思っている割合が高い。
また、男女ともに学校段階が上がるにつれて「栄養ドリンクやサプリメントを飲む」ことで、摂取する栄養バランスをコントロールする姿勢がみられる。その一方で、「おなかがすいていなくても無理に食べてしまう」といった食事に対するコントロール感の欠如も見逃せない。
「ダイエットのために食べる量を減らす」「おなかがすいていなくても無理に食べてしまう」という一見相反する項目の割合が、女子では学校段階が上がるにつれて大きく増加しているのも特徴的である。近年問題となっている、児童思春期の女子を中心とした摂食障害との関連も垣間見られる。
小中高生に自分の家の夕ごはんで好きな料理・おかずは何かを聞いた結果をみると、小中学生では1位「ハンバーグ」、2位「カレーライス」、高校生では1位「カレーライス」が、他を大きく引き離して上位を占めている。
男女別にみてみると、男子は、小中学生では「ハンバーグ」「カレーライス」「焼肉」、高校生では「カレーライス」「焼き肉」「からあげ」が上位3つを占め、肉料理のポイントが高いのが特徴的だ。一方女子は、男子のような大きな偏りはみられず、「カレーライス」「シチュー」「パスタ・スパゲティ」「ギョウザ」「からあげ」「ハンバーグ」などに人気が分散しており、男子に比べ好きな料理がバラエティに富んでいるようだ。
また、同調査の「家の夕ごはんによく出てくる料理・食品」をみてみると、1位「シチュー・カレー」、2位「野菜などの炒め物」、3位「チキンなどの揚げ物」、4位「焼き肉・ステーキ」、5位「焼き魚」となっている。この中で「野菜などの炒め物」「焼き魚」が子どもの好きな料理・おかずのベスト10にあがっていない点は興味深い。食卓には出るものの、野菜や魚を好んで食べない子どもたちの様子がうかがえる。
子どもに対して行っているしつけや教えているマナーについてのアンケート調査結果をみると、「正しい姿勢で食べる」(55.7%)、「『いただきます』と『ごちそうさま』をきちんと言う」(53.7%)がそれぞれ5割を超え、次いで「好き嫌いをしない」(43.6%)、「食べ残さない」(30.3%)となっている。
同調査の「親から受けた食事に関するしつけや教えられたマナー」では、1位「好き嫌いをしない」(52.8%)、2位「食べ残さない」(44.4%)となっており、「好き嫌いをしない」「食べ残さない」の2項目については、親から教えられたときよりも、子どもに対して教えている割合が低下していることがわかる。
上位4項目を親の年代別にみてみると、親の年代が35才〜44才では「正しい姿勢で食べる」の割合が7割弱ともっとも高く、30才未満では「『いただきます』と『ごちそうさま』をきちんと言う」の割合が7割弱ともっとも高くなっている。子どもの成長にともない、しつけの内容や教えるマナーも変わってくるといえよう。
また、45才〜49才では「食べ残さない」が56.7%(44才以下では30%前後)と、他の年代の親と比べて圧倒的に高くなっている点は大変興味深い。45才〜49才という年代の多くが、食糧不足の時代を体験した親たちに育てられた世代であるといったことも要因となっているのではないだろうか。
子どもの食習慣について改善したい項目をたずねた結果をみると、「食品を選んだり、食事のバランスを整えるのに困らない知識や技術を身につける」が66.5%ともっとも高く、次いで「副菜(野菜)を十分に食べる」(54.6%)、「菓子や甘い飲み物をほどほどにする」(49.6%)となっている。
「副菜(野菜)を十分に食べる」については、5割以上が「改善したい」と回答しており、「主食を十分に食べる」については「すでにできている」の割合が8割を超えていることから、主食は食べるが野菜を中心とした副菜をあまり食べない子どもたちの様子がうかがえる。
「朝食を食べる」「食事時間を規則正しくする」については、「すでにできている」と回答した割合が8割前後と高い。また、どの項目においても、「できていないし改善したいとも思わない」の割合がごくわずかとなっており、子どもの食習慣に対する親の意識の高さがうかがえる。