食生活 〜第2回〜
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昨今、毎日朝食を食べるという習慣が揺らいでいることが問題視されているが、小中学生の朝食欠食の年次推移の調査結果をみると、朝食を「毎日食べる」割合は、男女ともに9割を超えており、昭和63年から平成17年の17年間では、ほとんど変化はみられない。
その一方で、「朝食を子どもだけで食べる」比率が、平成5年に小学校1〜3年生で27.4%、小学校4〜6年生32.6%であったのが、平成17年にはそれぞれ40.9%、40.3%と10ポイント前後増加し、どの学校段階でも4割を超えた。
共働き世帯の増加や、「子どもに対して行っているしつけや教えているマナー」で「家族そろって食べる」という項目が10%未満(『食生活』第1回【1-3】参照)
であったことからも、食事に対する意識の変化や、食事は個々の時間に合わせてとらざるを得ない家庭の状況がうかがえる。
小学生に比べ、中学生の「朝食を子どもだけで食べる」比率の年次推移に大きな変化がみられないのは、中学生は部活動等で早く家を出ることがあるため、もともと家族より先に朝食をとっていた家庭が多いことなどが理由として考えられる。
平成15年度に行われた「小・中学校教育課程実施状況調査」をみると、毎日朝食を食べる子どもほどペーパーテストの得点が高い傾向にあることが明らかになった。また、独立行政法人日本スポーツ振興センターの「児童生徒の食生活等実態調査結果」(平成12年度)によると、朝食を欠食する子どもは、「つかれる」「いらいらする」などと感じる割合が高いとされている。
朝ごはんと成績との直接の因果関係だけでみるのではなく、就寝時刻が遅く、睡眠時間が短い(『生活時間』第1回【1-1】参照)など、基本的生活習慣の乱れが、学習意欲や体力・気力の低下の要因の一つとして指摘されていることも忘れてはならないだろう。
「食育」の周知度や関心度についての調査結果をみると、「食育」について「言葉も意味も知っていた」と答えた人の割合は、全体ではまだ26.0%とおよそ4分の1にとどまっている。しかしながら、子どもが児童・生徒・学生である親に限ってみると、乳幼児(就学前)をもつ親37.1%、小学生・中学生をもつ親38.5%、高校生・大学生・大学院生をもつ親32.0%と、全体的に周知度が高くなっている。
平成17年6月に「食育基本法」が成立し、学校を中心として「食育」が行われ、言葉の周知が少しずつ進んでいる様子がうかがえる。
一方、「食育」への関心をたずねた結果をみると、関心の高さは子どもの年齢にはあまり関係がなく、子どものいる人の7割以上が「関心がある」または「どちらかといえば関心がある」と答えている。子どものいない人でも6割近くが同様に関心をもっている。
食育基本法が、『国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することが緊要な課題となっていること』に対応して制定されたものであることを考えると、子どもの有無や年齢に関係なく、より幅広い年齢層に「食育」を広めることが必要であり、今後の動きに注目していきたい。
学校給食の調理方式には、「単独調理場方式」(自校方式)と「共同調理場方式」(センター方式)の2つがあり、都道府県によって実施状況はさまざまである。
文部科学省が行った「学校給食実施状況調査」をみると、一般的には、「単独調理場方式」を実施している割合の高い都道府県は、1校あたりの児童・生徒数が多いことが特徴的である。
「単独調理場方式」を実施している割合が高い上位5都道府県をみると、小学校では東京都85.9%、神奈川県85.5%、福岡県80.3%、京都府75.9%、大阪府75.7%となっている。中学校では京都府81.4%、東京都79.1%、大阪府74.5%、富山県53.0%、広島県52.9%となっている。
他方、「共同調理場方式」を実施している割合が高い上位5都道府県は、小学校では鳥取県89.0%、青森県86.6%、島根県85.2%、沖縄県83.9%、岩手県80.1%となっている。中学校でも岩手県93.7%、鳥取県93.6%、大分県87.7%、青森県・滋賀県・沖縄県87.2%となっており、東京都・京都府・大阪府などの都市部との違いが顕著である。