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進路選択・キャリア教育 〜第1回〜
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大学・短大への入学者数の推移をみると、平成4年をピークに18歳人口が減少しているにもかかわらず、大学・短大への入学者数の合計にそれほど大きな減少はない。大学・短大の別でみると、大学への入学者は増加傾向にあるが、短大への入学者は近年減少傾向にある。
進学率でみてみると、平成2年には大学・短大への進学率が36.3%であったのが、その後増加を続け、平成17年に51.5%と5割を超え、平成19年には53.7%となった。さらに、高専・専門学校を加えた進学率は、平成19年で76.3%となっており、日本の高等教育機関への進学率の高さがうかがえる。
また、文部科学省「平成19年版 学校教育総括」によると、昭和35年には男子14.9%、女子5.5%と男女差の大きかった大学・短大への進学率が、平成18年には男子53.7%、女子51.0%となり、進学率における男女差はなくなったといえそうだ。
小学5年生を対象に中学受験の希望をたずねた調査結果をみると、中学受験を希望する小学生の比率は徐々に増え続け、1990年の15.7%から2006年には23.5%と7.8ポイント増加した。
地域別にみると、いずれの地域においても増加傾向にあるが、とくに大都市での伸びが著しく、2006年には37.7%と、4割弱の小学生が中学受験を希望していることがわかる。
2001年から2006年にかけて大幅増になったのは、学習指導要領の改訂により2002年度から「学習内容、授業時数の削減」「完全学校週5日制」が実施され、学力低下が問題となるなど、公立学校への不安を反映したものと思われる。
大学生を対象に行った進路選択に関する振返り調査をみると、「文系・理系を意識した時期」のピークは「中学生のころ」で40.0%、次いで「高校1年生」が30.2%となっている。小・中学生までの段階ですでに半数が文系・理系を意識していることがわかる。
次に、「大学での専攻分野を意識した時期」をみてみると、「高校3年生」が29.6%、「高校2年生」が29.4%と、高校2年生・3年生がほぼ同じ割合となっている。さらに「高校1年生」(17.3%)を加えると約4分の3が高校時代に専攻分野を意識していることになる。
また、「進学する大学を意識した時期」は、「高校3年生」の57.7%をピークに、次いで「高校2年生」が24.0%となっており、約8割が高校2年生以降に進学する大学を具体的に考えていることがわかる。
それに対して「職業を意識した時期」は、小・中学校時代(「小学生のころ」「中学生のころ」の合計)が24.8%、高校時代(「高校1年生」「高校2年生」「高校3年生」の合計)が29.9%、大学1〜4年生の合計が25.0%、「まだ考えていない」が19.1%と、回答がほぼ四分される結果となっている。
高校卒業後の進路に関して高校3年生の保護者にたずねた結果をみると、「誰でも大学に入れる時代だから大学を出ても大した得にはならない」という項目に対して、「全くそうは思わない」と「そうは思わない」を合わせると、約8割の保護者が大学を出ることに何らかのメリットがあると考えていることがわかる。
「資格や免許のとれる学校にいってほしい」については、20.8%の保護者が「強くそう思う」、54.3%の保護者が「そう思う」と答えており、高校卒業後の進路として、大学や専修学校などの高等教育機関に資格や免許の取得を期待している様子がうかがえる。
「高校を卒業したら経済的に自立してほしい」という項目に対しては、「全くそうは思わない」と「そうは思わない」を合わせると、約3分の2の保護者が否定的な回答をしている。これは、子どもが「学生の間」または「定職に就くまで」は経済的に面倒をみてもよいと考える親が6割いるという調査結果(『教育費』第2回【2-2】参照)とも一致する。
その一方で、「自宅から通勤、通学してほしい」「家庭の経済力に見合った進路を選んでほしい」には、それぞれ66.3%、76.9%の保護者が「強くそう思う」または「そう思う」と答えている。