進路選択・キャリア教育 〜第3回〜
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経済産業省の社会人基礎力研究会では、「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」として、社会人基礎力の12の能力要素をまとめている。
企業が求める人材像に関する調査の結果をみると、12の能力要素のうち、企業が高い割合で求めているのは、「主体性」(84.3%)、「実行力」(79.5%)、「課題発見力」(74.6%)などであり、「前に踏み出す力(主体性や実行力)」に関わる能力要素が高くなっている。
また、大学生を対象とした意識調査をみると、若者が自分の強みとして感じている能力要素は、「柔軟性」(50.6%)、「傾聴力」(47.5%)、「情況把握力」(45.4%)などであり、「チームで働く力」に関係する能力要素が高くなっている。
「前に踏み出す力」に関わる能力要素に関して、大学生は少し自信がないようで、企業が求めている能力と若者が強みと感じている能力にギャップが生まれている可能性を示している。
小学6年生の保護者を対象に中学受験をさせる予定をたずねた調査結果をみると、「特別区・指定都市」では約2割が受験させると答えているのに対し、「15万人以上」の地域では約15%、「5〜15万人」や「5万人未満」の地域では8%程度と、自治体の人口規模による差がみられた。
また、第一志望の学校はどのような学校かをみてみると、「特別区・指定都市」や「15万人以上」、「5〜15万人」の地域では、受験予定者の6〜7割が私立中学校を第一志望とし、「公立の中高一貫校」、「国立大学の附属中学校」の順となっている。
それに対し、「5万人未満」の地域では、約半数が「公立の中高一貫校」を第一志望とし、「私立中学校」と「国立大学の附属中学校」がそれに続いている。
同調査の「中学受験をしない理由」をみると、人口規模の小さい地域では、大都市に比べ「受験したい中学校がないから」「近くの公立中学校に行くのが当たり前だから」といった回答の比率が高く、通学可能な範囲の受験したい中学校の有無と中学受験に対する意識の違いが、中学受験の割合に表れているように思われる。また、「5万人未満」の地域の第一志望の学校の割合が他の地域と異なるのは、地元に通学可能な志望校が少ないため、下宿等も考慮に入れて考えているためであろうか。
母親の学力別に学力観・勉強観をみた結果をみると、「大卒・短大卒」の母親は「非大卒・非短大卒」の母親よりも「できるだけいい大学に入れるよう、成績を上げてほしい」(大卒・短大卒:36.5%、非大卒・非短大卒:14.3%)と答える割合が高く、「今は勉強することが一番大切だ」(28.5%、21.6%)と考えている。
また、「いい学校に入れるには塾に通わせる必要がある」(25.4%、15.9%)、「子どもの学習上の苦手は親として正確に知っておきたい」(44.6%、35.0%)とも考えている。
これに対し、「非大卒・非短大卒」の母親は「将来ふつうの生活に困らないくらいの学力があればいい」(31.6%、60.9%)と答える割合が高く、「高学歴よりも資格を身につけるほうが将来役に立つ」(27.5%、45.9%)、「学校生活が楽しければ、成績にはこだわらない」(17.0%、30.9%)と考えている。