学力と学習 〜第2回〜
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小中高生を対象に授業の理解度についてたずねた調査結果をみると、「ほとんどわかっている」+「70%くらいわかっている」児童・生徒が、全般的に増加していることがわかる。
1990年と比べると、小学生では、すべての教科で約6〜12ポイント上昇しており、中学生や高校生でも「国語」「数学」「理科」の理解度は上昇している。2002年からの新学習指導要領の実施により、学習内容が厳選されたことが、少なからず影響しているものと考えられる。
しかし学校段階別にみると、どの教科においても学校段階が上がるにつれて、授業の理解度は低くなる傾向がみられる。
2007年4月に全国の小中学校で実施された「全国学力・学習状況調査」の際に、学校における学力向上に向けた取り組みや、教科の指導方法についてたずねた結果をみると、学力向上に向けた取り組みとして、多くの学校で「朝の読書」などの一斉読書の時間を設けていることがわかった(小学校91.8%、中学校83.5%)。
また、「放課後を利用した補充的な学習サポート」を実施している学校は小学校で40.9%、中学校で56.8%、「長期休業期間を利用した補充的な学習サポート」を実施している学校は小学校で47.7%、中学校で75.5%となっている。
教科ごとの取り組みをみると、国語の補充的な学習指導については、「よく行った」「どちらかといえば、行った」を合わせると、小学校で65.1%、中学校で70.6%、算数・数学の補充的な学習指導については、小学校で87.7%、中学校で86.9%の学校が実施していることがわかる。これに対して発展的な学習指導は、国語で3〜5割、算数・数学で6割前後にとどまっている。
2007年11月7日に発表された、文部科学省「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ 関連資料」より、学習指導要領の変遷および授業時数等の変遷に関する資料をみると、今回の改訂案では、小中学校全学年で授業時数の増加が盛り込まれる形となった。
改訂案によると、小学6年生では、現行の945時間から980時間に35時間増加、中学3年生でも、現行の980時間から1,015時間に35時間増加することになる。小学校6年間では278時間、中学校3年間では105時間の増加となり、授業時数が増加するのは、昭和33年の改訂以来、実に50年ぶりとなる。
現行学習指導要領は、『自ら学び自ら考える力の育成』という観点から、総合的な学習の時間の創設や中学校における選択教科の授業時数を充実し、必修教科の授業時数を削減した。しかし、さまざまな学力調査の結果、「子どもたちは知識はあるが、それを活用するのが苦手」といった課題が明らかになってきた(『学力と学習』第1回【1-1】【1-2】参照」)。今回の改訂案はそれらの課題を踏まえ、「確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保」として授業時数の増加を盛り込んでいる。
小中高生を対象に、どのようなことが得意であるかをたずねた調査結果をみると、小学生は「論理的に(すじ道を立てて)ものを考えること」を除くすべての項目において、中学生や高校生に比べて得意とすることが多く、有能感が高いことがわかった。
得意と思う内容をみてみると、「スポーツをしたり、体を動かしたりすること」が全学校段階で7割前後ともっともポイントが高く、「物を作ったり絵を描いたりすること」「ものを覚えること」「楽器を演奏したり歌を歌ったりすること」も、5割〜6割の子どもが得意としている。
「難しい問題をじっくり考えること」「問題の解き方を何通りも考えること」については、小学生と中高生で大きな差がみられた。逆に、「論理的に(すじ道を立てて)ものを考えること」については、学校段階が上がるにつれてポイントが高くなっている。