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学力と学習 〜第3回〜
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平成20年4月に全国の小中学校で実施された「全国学力・学習状況調査」の結果をみると、全体的な傾向としては、19年度(『学力と学習』第1回【1-1】参照)同様、基礎的な「知識」を問うA問題に対して、「活用」する力を問うB問題の平均正答率が低い結果となった。
国語では、小学校のA問題の平均正答率が65.6%なのに対して、B問題が50.7%と14.9ポイント低く、中学校では、A問題の74.1%に対して、B問題が61.5%と12.6ポイント低くなっている。算数・数学では、小学校のA問題の平均正答率が72.3%なのに対して、B問題が51.8%と20.5ポイント低く、中学校では、A問題の63.9%に対して、B問題が50.0%と13.9ポイント低くなっている。
A問題とB問題の正答率の分布を19年度の調査結果と比較してみると、20年度の正答率の分布は正規分布に近づいており、19年度と比べ問題がやや難しい内容であったことがうかがえる。平均正答率による単純な比較はできないが、20年度の平均正答率は19年度と比べて全科目で8〜16ポイント低くなっている。
40年前に文化庁が行った漢字調査(1964年〜67年実施)と比較して、子どもの漢字学力がこの40年間でどのように変化したかを調べた調査結果(2004年実施)をみると、「読み」「書き」ともに正答率が大きく変化していることがわかる。
40年前と比べ正答率が大幅に上昇した学習漢字をみると、「書き」では「甘い」が64ポイント(6.7%→70.8%)、「環境」の「環」が56ポイント(4.2%→59.9%)、「爆発」の「爆」が54ポイント(5.9%→59.9%)、「鬼」が52ポイント(6.6%→58.1%)上昇している。また、「読み」では「携帯」の「携」が95ポイント(1.7%→96.9%)、「邪悪」の「邪」が79ポイント(7.8%→86.3%)、「破壊」の「壊」が73ポイント(19.3%→92.6%)上昇した。
マンガやゲームソフト、テレビなど、子どもたちが日常的に親しんでいるメディアに登場する配当外漢字の正答率が高くなったといえよう。
逆に、正答率が大幅に低下した学習漢字は、「書き」では「帳面」の「帳」(65ポイント)、「炭」(39ポイント)、「鯨」(38ポイント)、「唱歌」の「唱」(36ポイント)、「読み」では「綿」(34ポイント)、「月賦」の「賦」(24ポイント)、「扇」(21ポイント)、「謄写版」の「謄」(21ポイント)「拝啓」の「啓」(17ポイント)などであり、いずれも40年前と比べ子どもたちが接する機会の少なくなった漢字の正答率が低下している。
同調査によると、漢字を覚えるきっかけは、「本」62%、「マンガ」51%、「テレビ」44%、「テレビゲーム」24%となっており、子どもの漢字習得にこれらのメディアが大きく影響していることが推測される。
算数の勉強がどのくらい好きかをたずねた調査結果をみると、算数が「好き」(とても好き+まあ好き)と答えた割合は、学年が上がるにつれて減少し、1年生の83.5%から、6年生では63.6%と、20ポイント減少していることがわかる。とくに、3年生から4年生にかけての減少が大きく、中学年でつまずく児童が増える様子がうかがえる。
男女別にみると、1年生から3年生まではあまり差がないのに対して、4年生以降は女子の「好き」の割合が大きく減少し、苦手意識が高まることがわかる。
一方、算数とあわせて国語、社会、理科の勉強がどのくらい好きかをたずねた結果をみると、国語と理科は算数と同様に学年が上がるにつれて「好き」の割合が減少し、男女別では、国語は女子、理科は男子のほうが「好き」の割合が高くなっている。社会は、相対的にみて男女差は小さく、学年による違いもあまり大きくない傾向がみられる。