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英語教育 〜第2回〜
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全国の公立小学校の教員を対象に、英語教育を行う上での課題についてたずねた調査結果をみると、全体では約4割の先生が「指導する教員の英語力」(40.6%)、「教材の開発や準備のための時間」(38.2%)をあげており、次いで、約3割の先生が「指導のためのカリキュラム」(32.9%)、「英語教育に関する教員研修」(31.2%)をあげていることがわかった。
これを、英語教育の年間時数別にみると、年間時数が多い場合には、「教材の開発や準備のための時間」(49.1%)、「ALTなどの外部協力者との打合せの時間」(34.3%)、「中学校との接続・連携」(21.5%)といった、英語教育の実施上の課題が多く認識され、一方、年間時数が少ない場合には、「指導のためのカリキュラム」(37.2%)、「ALTなどの外部協力者の来校頻度」(24.3%)、「英語教育の時間数」(19.4%)など、英語教育実施以前の課題が多く認識される傾向にあった。
小学生の子どもをもつ保護者を対象に、子どもに期待する英語力についてたずねた調査結果をみると、45.1%の保護者が、子どもには「日常会話で困らない程度の英語力」を望んでいることがわかった。その一方で、21.7%の保護者が「今、楽しく取り組めれば、とくに役に立たなくてもよい」と答えており、子どもに期待する英語力は保護者の間でばらつきがあることがわかった。
これを地域別でみると、大都市では「英語で仕事ができるくらいの英語力」(13.3%)、「日常会話で困らない程度の英語力」(48.2%)など、高い英語力を期待する項目で、中都市・郡部よりも割合が高くなっている。一方、中都市・郡部では「今、楽しく取り組めれば、とくに役に立たなくてもよい」(中都市22.1%、郡部26.1%)という項目で、大都市よりも割合が高い。
地域や保護者の子どもに対する進学期待、教育観などの違いや、英語を必要とする仕事の有無などが、少なからず影響しているものと思われる。
国内、国外で外国と折衝する業務経験者など、国際ビジネスに携わる社会人を対象に、自身の経験から「日本人が国際交渉をするのに必要な英語力はどのくらいか」をたずねた調査結果をみると、実用英語技能検定(英検)では、「準1級」が47.4%ともっとも多く、次いで「1級」36.2%、「2級」10.9%となっている。「準1級」と「1級」を合わせると83.6%になり、8割以上の人が準1級以上の英語力が必要と感じていることがわかる。
また、同質問をTOEICの点数でたずねた結果をみると、「900点以上」必要だと思う人は全体の25.7%で、これに「800点以上」(24.0%)、「850点以上」(18.9%)を合わせると、約7割の人が800点以上は必要だと感じていることがわかる。
英検準2級(もしくは相当)以上の英語力を有する高校生は全体の27.8%(『英語教育』第1回【1-3】参照)といった日本の高校生の英語力や、大学まで含めても736.4時間(『英語教育』第1回【1-2】参照)といった外国語の授業時数から考えると、国際ビジネスで求められる英語力という観点からは、学校での英語教育では十分ではない状況にあるといえる。
外務省の「海外在留邦人数調査統計」資料より、海外在留邦人の子女数(小中学校段階にある子どもの数)の推移をみてみると、平成14年以降全体として増加し続けていることがわかる。地域別にみると、アジアが21,954人でもっとも多く、次いで北米が20,218人、欧州が11,231人となっている。平成17年にアジアがそれまでトップだった北米を抜き、第1位となったのが特徴的だ。
北米は平成17年にいったん減少したものの、平成18年には再び増加に転じた。欧州、大洋州、中南米、アフリカ、中東はこの5年は、ほぼ横ばいである。
同資料より、在留邦人数を国別にみると、多い順にアメリカ合衆国(370,386人)、中国(125,417人)、ブラジル(64,802人)、英国(60,751人)となっている。中国は、平成12年にはブラジル・英国に次いで第4位であったのが、平成13年には英国を抜いて第3位、平成15年にはブラジルを抜いて第2位となった。日系企業の中国への進出により、アジア地域の在留邦人が年々増加しているようすがわかる。