イベントリポート
<日本教育社会学会 第63回大会> 公開国際シンポジウム
「学力格差と教育政策 −香港・上海・日本のPISA結果から−」
2011年9月25日(日)、日本教育社会学会において、「学力格差と教育政策-香港・上海・日本のPISA結果から」を題とする公開国際シンポジウムが開催されました。 |
主催 | 日本教育社会学会第63回大会準備委員会 お茶の水女子大学グローバルCOEプログラム「格差センシティブな人間発達科学の創成」 |
後援 | ベネッセ教育研究開発センター |
コメンテーター | 志水宏吉(大阪大学) |
司会 | 耳塚寛明(お茶の水女子大学) |
冒頭に、上海と東京の小学校の様子についての映像が上映されました。
続いて、香港、上海、日本国内の研究者がOECDのPISAデータを用いて、それぞれの社会における中高生の学力(読解力)格差の様態、メカニズムを分析し、政策的なインプリケーションが示されました。
香港では、親による学校への関与が強調されました。
上海では、政府による予算の大幅な拡充、低位校の底上げおよび中国社会に根ざしている「努力信仰」が好成績をもたらした原因であることなどが報告されました。
日本の分析は韓国、香港、上海との比較のなかで行われ、家庭の資源は上位層の子どもの学力に直接影響すること、家庭の資源に困難を抱える層の子どもにとって学習方略の有無の影響が大きいことなどの結果が示されました。
下位層の子どもに対する学習方略習得の指導が学力格差の縮小につながるではないかとの提言もされました。
その後、指定討論者、会場の参加者からたくさんの質問が寄せられ、国際比較の視点から今後の格差是正に向けた政策などについて議論が深められました。